パーソナリティ障害はありふれた精神障害と言われています。
米国のある疫学調査によれば、米国成人のおよそ15%が少なくとも1つのパーソナリティ障害をもっているとの報告がされています(パーソナリティ障害には8~10個のサブタイプがあります)。
但し、パーソナリティ障害の診断状況として、複数の障害タイプを併発したり、特定の障害タイプの診断基準は完全に満たさないが特徴的なパーソナリティ障害の症状をもつ群があるとも指摘されています(他の特定されるパーソナリティ障害、特定不能のパーソナリティ障害)。
『米国におけるアルコールおよび関連疾患に関する全国疫学調査』(National Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions)。
他の精神疾患の中にも隠れている?
また、パーソナリティ障害は、他の精神疾患の中に隠れている場合もあります。ある専門家は、その実態を次のように述べています。
臨床の場でつねに考慮されるべき重要な診断であるが、残念ながら、パーソナリティ(障害)の評価は往々にして軽んじられている。パーソナリティ障害をもつ人がうつ病や双極性障害等と診断され、その場合、薬物治療の効果に乏しい事もあって、大量の向精神薬が処方され、過量内服を繰り返している悲惨な例もしばしば経験される(井上弘寿 自治医科大学精神医学教室)。
ある精神疾患の診断を受け、治療方針(薬物治療)にもちゃんと従っているにも関わらず、苦しみや症状が改善しない、状態が善くならない…の背景には、パーソナリティ障害の評価(診断)が見逃されている可能性があるかもしれません。
セカンドオピニオンを含めた正しい診断をあらためて検討してはいかがでしょうか。
『境界性パーソナリティ障害はやっぱり多い』