家族だけで対応しきれない主な原因は、被害妄想の「影響」がお子様だけでなくご家族(親御様)にも及んでいることが考えられるためです。※詳しくは「おとなしかった子が、どうして?」記事をご参照ください。
【目次】
1. 親が受ける被害妄想の影響 2. お子様の頑張りの見落とし 4. 併発する問題への警戒心 |
1.親が受ける被害妄想の影響
お子様のちょっとした気分の変化(不機嫌、落込み)に対して「強い不安や焦り」を駆り立てられることや、そうしたお子様を心配し続けることこそ、被害妄想が及ぼす親御様への大きな影響です。
例えば、お子様が不機嫌になる度に「また大変なことになるのでは…」「早く何とかしないと…」といったようなネガティブな予感や考えが次々と頭の中に浮かんでくる状態がこれに当たります。※下図参照
2.お子様の頑張りの見落とし
私たち人間の「注意」というものは、同時に2つ以上の事柄(作業)へ向けるのが難しく、前述のようなネガティブな内容(心配)に注意が奪われると、反対のポジティブな内容へは向きにくくなってしまいます。※これを「注意資源の有限説」と呼びます。
もし、見落とした情報が「お子さんなりに頑張っていること」であった場合、親御様の対応はお子様からしてみれば「理解を欠いたもの」となるでしょう。
つまり、親御様が事態の収拾を急ぐほどに、お子様には「分かってもらえない」「かえって苦しめられる」などといった被害体験が増えてしまうことにもなりかねます。
3.親に心配があると被害妄想も増える
実際、被害妄想を抱えるご家族では、親の心配(上表のような傾向)と被害妄想の間に「有意な正の相関関係」が示されており(φ=.52, p<.001)、一方が増えると他方も増えるという「皮肉な関係」が確認されています。
つまり、“何とかしなければ”と親御様が積極的に反応するほど、逆にお子様の被害妄想は増えてしまう傾向にあることが客観的にも示されているのです。
それだけでなく、被害妄想を抱えるお子様の多くは同時に複数(平均で4.3個)の問題行動を抱えている傾向にあり、またその多くが被害妄想と密接に関連することも同様のデータから確認できます。※下図参照
4.併発する問題への警戒心
上記のグラフからも分かるこのように、被害妄想を家庭内で抱えるということは、同時に複数の問題行動の対応に追われることも指します。
特に、被害妄想と問題行動が密接に関連する傾向を踏まえると、お子様のちょっとした気分変化(不機嫌)でさえも、ご家族にとっては深刻な問題発生のサイン(予兆)に感じられてしまうかもしれません。
すると、警戒心に駆り立てられた内容にばかり注意が向くようになるので、お子様の気持ちや頑張りに「寄り添う」ことが難しくなってしまうことが考えられます。
その結果、気づかないうちにお子様の被害妄想を刺激しては、むしろその悪化に好都合な役割(言動)を果たしてしまうのかもしれません。※下図参照
このように被害妄想の影響を理解しようとせずにただやみくもに対応してしまうと、親子間でお互いを傷つけ合う関係をつくり上げてしまいます。
そればかりか、頑張るほどに「状況が悪くなる」「会話が成り立たなくなる」「接し方がわからなくなる」といった悪循環の中に親子共々引きずり込まれていってしまいます。
5.もっとラクな接し方をお探します
パーソナリティ障害 宿泊・心理センターでは、こうした被害妄想の影響へ上手に対処できるためのサポートを行っています。
具体的には、「お子様との接し方がもっとラクになる方法」について一緒に考え、お探ししています。
例えば、スタッフがお子様と一緒に語り合う中で「今頑張っていること」について本人に伺い、そこから得られた情報を親御様にも共有していただきます。
こうすることで困難な感情の中においても、お子様が「深く求めているもの」を親御様にもご理解していただくことができます。
また、その理解に基づく対応(言動)を工夫されることで、被害妄想の影響(警戒心)に襲われた時も「どう対応したら良いか」を明確化できると考えられます。
実際、こうしたアプローチに基づく効果は問題の内容や数を問わず、多くのご家族に実感していただけることを当施設では確認しております。※詳細は「わが子はきっと、変われる」をご参照ください。
もし、「現状が変わらない」「問題が繰り返される」などといった悩みをお持ちでしたら、当ホームページをくまなくご覧になっていただき、ぜひ一度お問い合わせください。
私たちは、ご家族やお子様の抱えているであろう問題の改善に対し、本質的なサポートをご提供しています。