皆さん、こんにちは。

シリーズブログの第二部「同じ悩みを持つ母親たちがここにいる~There’re mothers just like you~」4回目になります。

今回はパーソナリティ障害者(その疑いのある方を含む)を抱える親(特に母親)としての心構えについてご説明して参ります。

「ごめんなさい」と言わないで

当センターでは、研修生として受け入れる前に必ず保護者同伴の面談の場を設けております。

面談の中では、それまでの経緯、苦しさや辛さについてもお聞きしていますが、特に母親側の心の叫びにもしっかりと耳を傾けるよう心がけています。

その多くの訴えの中には、いくつか共通点のようなものが見られます。

母親の訴え(叫び)として一番多いものは、「親亡き後の子どもの人生に対する不安や心配」です。

これはたとえ自分の子どもが10代であろうが50代であろうが、心配の度合いに差異は見られません。

次に、「実際に子どもにどう接したら(対応したら)いいのかわからない」という具体的かつ実践可能な訴えがあります。

当センターを訪れる母親の中には、パーソナリティ障害に関する様々な専門書を読み、ご自分なりに勉強なさっていて、知識に富んだ方もいらっしゃいます。

それでも専門書の通りにいかない場合は多々あり、打つ手がなくなって途方に暮れているという方も少なくありません。

ある母親は子どもの現状を心配して、少しでも良くなればという思から、過去に自分が与えてあげられなかった子どもへの愛情を再び与え始めようとしました。

しかしその願いとは裏腹に、子どもは母親に対して一方的に金銭や物を要求しては「私の人生がこんなになったのはお前のせいだ!私の人生を返せ!」などと痛い所を突き、攻撃してきます。

そのようなことを繰り返していると、母親の心の中には「母親としての私の子育ては失敗だったのではないか」という想いが込み上げてきてしまいます。

子どもというものは、親が抱くこの罪悪感のような想いを感じ取ってしまい、自尊心に多大な影響を受けてしまいます。

例えば、母親が子どもに対して「ごめんなさい」と伝えると、子どもは逆上してさらに攻撃の度合いが増していきます。

これは、親の罪悪感から出た「ごめんなさい」という言葉が、子ども側にも罪悪感を植え付けてしまうからなのです。

多くの場合、子どもは親の期待通りに生きられない自分自身を責めており、そこに親からの「ごめんなさい」などという言葉を浴びせられると、「そんなに私の存在が“ごめんなさい”なのか!」と、歪んだ解釈をしてしまいます。

子どもの訴えの本質を知っておく

ここで母親として「どう子どもに対応したらいいのか?」という問いに対するいくつかの心構えをご紹介したいと思います。

まず一つ目は、「子どもの訴えの本質を知る学習をすること」です。

本質というものは、子どもが「金をよこせ!」「あれを買ってこい!」といった要求にただ応えているようでは見えてきません。

また、摂食障害の子どもに対して「食べ吐きするな!」と、一方的に怒鳴りつけて食べ物を管理することも間違っています。

それらの要求の背景に隠れている「本当の気持ち」を汲み取ってあげることが重要なのです。

いつも子供の要求に“そのまま”応えていた母親には、いきなり難しいことかもしれません。

ですが、この心構えは練習することで習得できる技術のようなものなのです。

では本質(本当の気持ち)とはどんなものがあるのか?

臨床データからいくつか例を挙げますと、「寂しかった」「本当は母親にもっとかまって欲しかった」「もっと甘えてみたかった」「頑張りや努力を認めて欲しかった」「愛のある家庭が欲しかった」「家族の犠牲になってきたことをわかって欲しい」などといったものが多く見られています。

この本質に気づくためには、要求を言葉通りに飲み込んで応えるのではなく、その言葉の裏に隠れている気持ちに焦点を当てて受け止めてあげるというやり方を練習していくしかありません。

最初は理解できなくて受け止めてあげることができなかったとしても、子どもたちは「本当はこういう気持で要求してきている」ということを、母親として理解しようとする姿勢を忘れずに心掛けてください。

継続することができたなら、本質を理解できる日もそう遠くないはずです。