日頃から人格障害宿泊施設(以下当施設)へ寄せられる「ホスト関連トラブル」の問い合わせ件数は、年々その数を増していく一方です。
これまで、このブログを通して同じ悩みを抱えたご家族の助けになればと、当施設なりにその原因や仕組みについて研究し、実践で得た情報を発信して参りました。※過去記事はこちらから
何件ものホスト通いがやめられなくたった娘さんたちを預かり、親御さんと密に連絡を取り合いながら、その対応方針について検討し続けていく中で、「家族の数だけ問題の質が違う」ということを改めて思い知らされました。
全く同じ事例など一つもなく、状況に応じて専門的な対応が必要とされるたびに他の協力機関とも連携を行ってきました。
そんな苦労の甲斐もあってか、日々積み重なる臨床記録から解決の鍵となり得る新たな発見があり、問題の本質の部分における多くの共通点なども見えてきました。
今回は、そんなご家族を長年見守り続けてきた当施設の施設長の観点から、支援を通じて発見することができた「ホスト通いを続ける理由」についてご紹介していきたいと思います。
今もホスト関連のトラブルで悩まれているであろうご家族の関係改善や問題解決に向けたヒントとなれば幸いです。
今と昔の違い
最近になって、数年前と今とではいわゆるホス狂(ホスト狂い)と呼ばれる女性の層に変化が生じていることが各所で報告されるようになってきました。
この事実から、当施設では年々ホストトラブルの件数が増加していることと、この新たな被害者層の存在について着目し、研究を進めています。
以前は、ホス狂と呼ばれるような女性は「仕事でストレスを抱えがちな30代女性」や、「退職後にお金と暇を持て余した60代」がほとんどを占めていると言われていました。
しかし、近年になるにつれて20代前後(未成年含む)の女性がホス狂になってしまうことが多く確認されるようになってきました。
年齢的にも”自己責任”で片づけられる問題ではなくなってきていることから、家族(親)を巻き込んだ大きな問題となってしまうことで、当施設への問い合わせにつながっているようなのです。
なぜ、まだお金を稼いだこともないような年齢層の女性がホストクラブへ通い続けることができてしまうのか…。
当施設を訪れたホストトラブルに悩まれるご家族から伺ってきた未成年~20代の娘のホスト事情から、その理由を探ってみました。
20代前後の女性被害者の増加
ホストクラブへ通い続けるためには、基本的に”多額のお金”が必要となるため、まだ金銭的に余裕がないはずの未成年~20代の女性は、これまであまり関係性のないものとされてきました。
しかし近年では、家庭によっては親が際限なく娘にお小遣いを与えていたり、SNSなどの普及によって他人と簡単に連絡が取れる弊害から軽い気持ちでパパ活をしてしまったり、未成年でも風俗、キャバクラなどで大金を稼いでしまう事例が急増しています。
そのような手段でお金を手に入れてしまうと、”自分で苦労してお金を稼いだ経験”が圧倒的に足りないためにまともな金銭感覚が身に付きません。
そんな状態でホストクラブへ通い、一日に数万、数十万、数百万とお金を散財し続けてしまえば感覚がさらに麻痺していってしまうのは当然の結果と言えるでしょう。
「なぜ、そこまで歯止めが利かなくなってしまうのか?」
「ホストの提案や請求金額に対して全く疑問を持たないのか?」
いくら金銭感覚が身に付いていないからといって、常識で考えればわかりそうなものだと思われる方もきっと多いことでしょう。
しかしこれには先に述べた金銭感覚の問題に加え、ホストクラブの”初回サービス”というものが大きな影響を及ぼしています。
ホストクラブは、どこでも必ず初回の利用に限って特別な料金設定がされています。
それが初回サービスと言われるもので、例えば「90分3000円飲み放題」といったように、居酒屋よりも安価な値段で好きなだけホストとしゃべりながらお酒も飲み放題できるようなリーズナブルなものです。
そのせいか、「安くてこんなに楽しめるなら…。」と、軽い気持ちで友達を誘って初回サービスをハシゴして回る初回荒らしという遊びが女性の間で流行しているそうなのです。
一見すると安い料金で賢く遊びまわっているように見えるこの初回荒らしこそ、実はホストの世界へ引きずり込むために店側が目論んだ予想通りの行動なのです。
では、店側の狙いがどういったところにあるのかというと、初回荒らしを続けていくと必然的にかなりの数のホストと顔を合わせることになります。
そんな総当たりのようなことしていくうちに、いずれ必ず自分の好みのホストに出会う時がやってきます。
そんなホストに出会ってしまったら最後、女性はそのホストに恋愛にも似た感情を抱いてしまい、また会いに来たくなってしまう気持ちを抑えることができなくなってしまいます。
指名し、通い続け、もっとお金を使ってあげたくなり、周りのことが見えなくなるほど夢中になっていくための最初の導線が、この初回荒らしという行動だったのです。
さらに悪いことに、客が若い女性であれば風俗などでたくさん稼げるだろうと踏んで、女性が身を滅ぼすまでにたくさんお金を搾り取れるだろうと積極的に引き込もうとします。
こうした裏事情を知ってしまうと、初回荒らしを遊び感覚で行ってしまう最近の若い女性たちに対して危機感を覚えます。
ハマる女性の心理
今も昔も、よく「メンヘラ(精神的不安定)な女性はホストにハマりやすい」と言われています。
これはなぜかというと、メンヘラな女性は自己肯定感が低く、自分に自信がないために「こんな私と話ても面白くなんかない」と思い込んでいることが多く、普段から周囲と会話する機会があまりありません。
そんな状態の女性がホストクラブへ行ってみると、自分の話を真剣に聞いてくれて興味を持ってくれるホストに対して、特別な感情を簡単に抱いてしまうことは容易に想像できます。
「この人はこんな私のために時間を使ってくれている…」
「ホストと話をしている間だけは刺激的な時間を過ごせた…」
このような体験が後にホストへの依存という形で表れ、女性をホス狂へと変貌させてしまうのです。
メンヘラ以外にも、趣味が無かったり、特定の恋人がいなかったり、家族と居ても心が休まらないような環境に居ることで、ホストクラブで経験する色恋による刺激に抗えなくなってしまいます。
ホストに入れ込む女性たちの中には、頭の中では「ありえない」と理解できているのにどうしても諦めきれなくなっている方もいれば、「ホストは100%自分に気がある」と本気で勘違いしまっているような方もいます。
そんな当事者たちにどんなに言い聞かせても信じてもらえませんが、実際のところホストは客である女性に対して恋愛感情を抱くことは99%ありません。
しかし、ホストは女性がお金を使ってくれると分かれば彼氏のように振舞ったり、同棲したり、肉体関係を持つことも厭(いと)わないのです。
ここまでされては、女性側も本気でホストと付き合えると思ってしまったり、結婚できるなどと幻想を抱いてしまっても仕方ないのかもしれません。
ですが、その先に待っているものは何もかも絞りつくされた空っぽの自分ひとりだけなのです…。
当施設のしてきた対応
ホストにハマってしまう女性の心理を紐解いていくと、人格障害(パーソナリティ障害、PD)の可能性を示唆するものがいくつも見つかります。
実際に、人格障害に焦点をあててケアを進めていくと、ホストへの依存やその他の精神疾患の症状にも改善が見られました。
ホスト依存の解消のためとは言え、人格障害を本気で回復させるためには、心理士の協力のもと長い時間をかけてケアを行っていく必要があり、必然的に当施設は”宿泊”という形でのサポートを行うことに行き着きました。
あまり他所では聞きなじみのないと思われる”宿泊支援”という表現を使っているのには、施設長である私の込めた明確な意図があります。
一般的にご想像されやすい施設入所とは、厳格なルールの中で生活を送らせ、お子様を更生させるような印象を持たれる方も多いのではないかと思います。
しかし、当施設ではご家族の大切なお子様の人間性や自由意思を無視してまで、ルールで縛り付けるようなことはしていません。
宿泊というその言葉の通り、旅館に泊まって心を癒して帰っていただくような、温かくて人間味のあるサポートを行っていることをお伝えするために、”人格障害のための宿泊施設”とご説明しています。
施設長である私を筆頭に、心理士や各種サポートスタッフたちが、まるで家族や友人のように接してくれるので、自分らしく無理のない生活を送ることができ、もう一度自分のことを見つめ直すための心の余裕が生まれるのです。
ホスト通いを続けてしまうのも、根底には人格障害のような心に大きな影響を与えている原因が考えられます。
当施設のカウンセリングや集団セラピーなどを織り交ぜた、自由で解放的な独自の宿泊支援によって、人間的な成長や精神面での変化が大いに期待できます。
私どものサポートに共感と理解を持っていただけましたら、ぜひ一度、ご家族の抱えている悩みや苦しみをご相談いただければ、きっとお力になれると信じております。
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専門施設として「パーソナリティ障害宿泊・心理支援センター」
施設長
佐藤矢市
2000年度に開設以来、本来安心できるはずのご家族において、親も子も安心して暮らすことができないということは本当につらいことでしょう。私たちはそうしたご家族の一助となれるよう、尽力しております。
費用
初回面談 施設見学 |
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初回面談の特典 |
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宿泊料金 | 支援ニーズにより異なります。まずはお問合せください |
※詳しくは下記URLよりアクセスください。
心理障害グループホーム「地上のひかり」
施設長
佐藤靖人
2021年度に開設し、この度「JECパーソナリティ障害宿泊・心理支援センター」と業務提携を結びました。
心理障害を抱えた方に向けて、心理ケアやスポーツが盛り込まれた生活を通し、楽しく学びながら成長し、将来への希望が見出せます。
月額利用費を抑えながらも支援の質を落とさず、自立や社会復帰に向けた生活支援を行う居住空間をご用意いたしました。
費用
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月額料金 |
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心理障害レベル |
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