皆さん、こんにちは。

佐藤矢市先生の「パーソナリティ障害の回復には決断と見守る連携が必要」シリーズ第20回目となります。

今回は、当センタースタッフの中でも重要な役割を担っている「肝っ玉母さん」こと元美スタッフを紹介して参ります。

なくてはならない大切な存在

元美スタッフは矢市先生の奥さんで、現在60代です。

一度でも会えばすぐにわかるほど「明るく、優しく、エネルギッシュ」で、相手の気持ちを心深く受け止め、本音で話し、好奇心いっぱいの人間性を持ち合わせている方ですが、反面、とても「寂しがり屋」でもあるそうです。

全ての研修生(利用者)は、「母親」として彼女と接する機会を持つことになります。

ひょっとしたら矢市先生よりも皆さんの本音を引き出すことに長けている部分もあるかもしれませんが、決して臨床心理学研究者でもなければ、資格取得者でもありません。

ですから、とても身近で、一般的なスタンスで研修生の皆さんと関わってくれます。

彼女は社会のルールに反するようなことや、他人に迷惑が及ぶような行動をとった人に対しては、母親が我が子にしつけをするように愛情を持って接してくれます。

もちろん、そういった行動の背景にある研修生の気持ちを汲み取り、受け止めていることは大前提です。

また、彼女は皆さんなりに社会で活躍できるように、生きて行けるように心から思いやりを持って普段から接しております。

当センターには、ダンスセラピーを始め、コーラスセラピー、楽器セラピー、スポーツセラピーや心理学講座などの様々な種類のセラピーが用意されていますが、彼女自身もこれらのセラピーに積極的に参加者として加わり、「生きるとは?」という人間学を行動で表現しています。

研修生たちと平等に接し、時には一緒に泣いて、悲しんで、心配し、励ましてくれたり、辛い時も苦しい時も、そして楽しい時も、共に歩んでくれます。

そんな当センターにとってなくてはならない大切な存在である彼女には、矢市先生も絶大な信頼を寄せていますし、こんなにも長い間運営を続けて来れたのも、彼女の存在があったからこそだと言っていました。

しかし、研修生たちにとって叱ってくれる彼女の存在は、時にはウザったいと感じられることもあり、「お節介おばさん」に思われてしまうこともしばしばあります。

耳が痛いようなこともハッキリと伝えてくれるのは、彼女だからこその持ち味なのです。

当センターでは、ご家族から預かった研修生たちと平等に向き合うことを大切にしていますが、パーソナリティ障害者の多くは、強い劣等感や被害意識に苛まれ、内心では、「自分は存在してはいけないんだ・・大切に扱われる価値なんて無い。どうせ自分はダメなんだ・・」という気持ちを抱いているものです。

私たちの接し方や言葉がけを常に気にしていて、少しでも自分と他の人との接し方が違うと、「どうして私にはそういう態度なんだ」と、不満を訴えてくることも少なくありません。

そういった意味でも、「平等」に向き合うという姿勢を貫いている「肝っ玉母さん」は、センター内に「安心感」を与えてくれる必要不可欠な存在なのです。