皆さんはインターネット上で行われる”投げ銭”についてご存じですか?
投げ銭とは、主にインターネット上のライブ配信者(ライバー)へ、現金やアイテムなどを送る機能のことを言います。
有名なものにはYoutubeの「スーパーチャット」という機能がありますが、他にもInstagram、Twitter、Tiktokなどのライブ配信機能としても投げ銭を行うことができます。
今回は急増する未成年の投げ銭トラブルについて検証し、その原因や対処法、ネット依存や人格障害との関係性、相談を考えている方へのアドバイスなどをご紹介していきます。
問題の現状と実例
ここ数年の間に増加してきた”投げ銭”に関するトラブルに対し、世界各国で明確な法整備が追い付いていません。
日本も例外ではなく、未成年の利用を制限したり、投げ銭できる総額の上限(制限)の取り決めすらないといった具合です。
こうしたことから、分別の付かない未成年を中心としたトラブルが多発し、家族(親)からの相談が相次いでいます。
実際に、多くの国で次のような未成年による問題が起こっている状況です。
- 2020年6月半ばから約30日間の間に、10代の少年が親のデビットカードを使い、Twitch上で人気配信者(NFL選手、NBA選手、ゲーム配信者など)に対して、2万ドル超(約210万円相当)の投げ銭を行っていました。※母親は苦労の末に、何とか2万ドルを払い戻してもらえた。
- 2019年に、日本の女子中学生が親のクレジットカードを無断で使い、投げ銭や音楽等のダウンロード購入で、数ヶ月の間に100万円以上使い込んでしまいました。
- 2019年5月下旬頃、中国の小学5年生の少女(11)が人気ライブキャスターに対して、親のスマートフォンの暗証番号を盗み見て約200万元(約3200万円相当)という大金を投げ銭で使い込んでしまいました。
- 2020年8月から10日間の間に、韓国で11歳の娘が親のスマートフォンを使い、ライブストリーミングサービス内で35人の配信者に対して、総額で1億3000万ウォン(約1200万円相当)を投げ銭して使い込んでしまった。※母親はなんとか約8400万ウォンの払い戻しに成功するも、残り約4600万ウォンについては回収できなかった。
このように、未成年としては信じられないような額の金銭トラブルが世界的に起きていて、投げ銭文化を問題視する声が多方面から挙がっています。
現時点(このブログ記事を書いている時点)で考えられる具体的な対処法などについては後述しますが、その前に投げ銭トラブルの根幹について探ってみましょう。
社会背景と人の心理
まず、社会背景の視点から投げ銭文化が普及した要因を考えてみると、やはり”コロナ禍”による影響が最も大きいと言えるのではないでしょうか。
現実でのコミュニケーションが減り、それに相反してインターネット上のコミュニケーション技術が加速度的に発達してきました。
さらに、外に出かける機会が減ったことで、家でインターネットを利用する時間が増え、誰もが”ネット依存”に陥りやすい環境にあるのです。
もちろんこれは私たち大人だけではなく、未成年の子供たちにも十分当てはまります。
加えて、日本には特有の”推し文化(好きなアイドルなどを推す)”というものがあったため、投げ銭文化が浸透していくのはあっという間の出来事だったようにも思えます。
次に、心理的な側面から見てみると、この投げ銭文化がいかに人の心を魅了するようにできているかに感心させられます。
まず基本的な流れとして、投げ銭をすると配信者は投げ銭をしてくれた人の名前やコメントを読み上げ、反応を示してくれるというある種のルールが存在しています。
これには、投げ銭をする側の”承認欲求(認知して欲しい欲求)”をほどよく満たしてくれる心理的な効果があります。
自分が好きな(推している)配信者からの認知されるということには相当な刺激が伴い、「また投げ銭したい!」と強く思わせてしまうのです。
さらに、たくさん投げ銭された配信者は、その実績や地位(ランキングなど)が上昇したり、ちょっとした有名人になったりして、メディア出演することもあります。
投げ銭を続けてきた相手がそうなった時、「自分がこの配信者を有名にした」「自分が応援してきた結果だ」などと錯覚し、”自己実現欲求(自分が成し遂げたい欲求)”が満たされるという心理現象が起こります。
こうした心理的な影響や家にこもりがちな社会背景からか、いつしかネット依存状態に陥り、投げ銭の魅力に取りつかれていってしまうという仕組みです。
未成年の投げ銭対処方法
投げ銭トラブルによる相談のうち、未成年のものは全体の約4割ほどと言われています。
本来であるならば、お金を持たない未成年は多額の投げ銭などできるはずがありません。
しかし、進歩した決済サービスの利便性ゆえ、やり方さえ知ってしまえば未成年でも簡単にお金を動かすことができてしまう時代です。
これを防ぐためには、家族(親)が未成年の子供たちに対して、徹底してお金の管理をしたり、お金の使い方や価値観について慎重に教育していく必要があります。
つまり、未成年の投げ銭を防ぐには、”勝手に親のお金を使えないようにする”ための徹底した管理は前提条件なのです。
具体的には、クレジットカードの管理(残高、利用明細の確認)や、子供が使えるインターネット端末の機能制限(ペアレンタルコントロール)などの活用をするとよいでしょう。
しかし、仮にこれらを徹底したとしても、まだ安心することはできません。
未成年の娘が”パパ活”を行い、自分で稼いだお金でコンビニのプリペイドカードを購入し、それを使って投げ銭を繰り返していた事例があります。
お金の管理と並行して、社会のルールやモラルについてもしっかりと教えていく必要があるということです。
ちなみにそうしたケースでは、事後対策として”未成年者契約の取り消し”というものがあります。
未成年者契約の取り消しとは、未成年が使い込んでしまったお金の払い戻しを請求することができるという民法の取り決めです。※ただし、未成年者が成人であると偽っていないことが条件
最後に注意点となりますが、ここまでご紹介してきた投げ銭の対処法は、あくまで未然に防ぐことを目的としています。
未成年者契約の取り消しについても、全てのケースでお金の払い戻しができるという万能手段ではありません。
結局のところ、投げ銭に及んでしまう人の心理的な問題を解決しないことには、また同じことを繰り返してしまうでしょう。
原因として関連の深い心理障害(ネット依存症、人格障害、うつ病など)の疑いについては、第三者機関へ相談して解決するしかありません。
相談をお考えの方へ
投げ銭に関する問い合わせで多いものは次の通りです。
- 際限なく投げ銭をしてしまう
- 投げ銭をどうしてもやめられない
- 投げ銭で生活に支障が出てしまっている
このように、「まずいと思っていてもやめられない」という共通点から見えてくるものは、深刻な”ネット依存症”の可能性です。
さらに掘り下げると、依存症になる原因として、人格障害(パーソナリティ障害)やうつ病などの心理障害を抱えている可能性も考慮しなければなりません。
こうした複雑な人の心理から起こる問題行動の解決には、心理士や精神科医などの専門家の協力が欠かせません。
相談を考えている方は、まず、”保健福祉センター”や”国民生活センター”、または私どものような”専門家”のような第三者機関へ直接問い合わせてみてください。
すでに多額のお金を浪費してしまっているようなケースでは、一刻も早くネット環境から隔離する必要性が考えられます。
特に依存症というものは時間の経過と共に深刻化してしまうため、いかに早い段階で医療と結びつけるかが回復のカギとなります。
したがって、自分たちだけでどうにかしようとせず、第三者機関に相談、協力を持ちかけることは賢明な判断と言えます。
ちなみに、当施設は開設以来20年以上もの間、心理士を中心に人格障害をメインに心理障害関連の問題行動や依存症に対して回復支援を行ってきた入所施設です。
もし、当施設へお問い合わせいただけた際は、長年の臨床経験を活かしたアドバイスと、希望に沿える支援を提供できると約束いたします。
他にも、当施設では回復が困難とされるお子さんの受け入れを優先的に行っており、社会自立や、家族再生のお手伝いをさせていただいております。
投げ銭トラブルはもちろん、次のような問題でお困りの方にも、当施設へお問い合わせいただければと思います。
- 子どもから親への家庭内暴力
- 引きこもり(子ども、成人含む)、ニート
- 金銭トラブル
- 各種依存症(ホスト、薬物、アルコール、ゲーム)
- 対人(隣人)トラブルなど
専門施設として「パーソナリティ障害宿泊・心理支援センター」
施設長
佐藤矢市
2000年度に開設以来、本来安心できるはずのご家族において、親も子も安心して暮らすことができないということは本当につらいことでしょう。私たちはそうしたご家族の一助となれるよう、尽力しております。
費用
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業務提携しました
心理障害グループホーム「地上のひかり」
施設長
佐藤靖人
2021年度に開設し、この度「JECパーソナリティ障害宿泊・心理支援センター」と業務提携を結びました。
心理障害を抱えた方に向けて、心理ケアやスポーツが盛り込まれた生活を通し、楽しく学びながら成長し、将来への希望が見出せます。
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