皆さん、こんにちは。
シリーズブログの第一部「小さな気づきで全てが変わる~Small changes make
a big difference」17回目になります。
今回は、パーソナリティ障害者に多く見られる共通点である「幼児的な万能感」についてその背景と共に解説して参ります。
幼児的な万能感って何?
パーソナリティ障害を抱えた方と接していて痛切に感じることは、とても幼い心の段階にとどまっている方が多いということです。
しかし彼らは、いつも幼い考えや行動をとってしまうというわけではなく、大人のようにしっかりと振る舞うこともできます。
つまり内面に抱える心の発達段階がとても幼いということなのです。
端的に表現するならば、「何でも思い通りになることを期待し、それが叶わないと自分の気持ちが保てなくなる」という見返りを求めてしまう心のことです。
何でも思い通りになるという感覚は、小さい頃には誰しも持っているものですが、そうした幼児的な万能感は、成長の過程で現実的な限界を見据えながら、折り合いを模索していけるものに成熟していきます。
ところが、パーソナリティ障害者では、この幼児的な万能感が色濃く残ってしまっているのです。
幼児的な万能感が残ってしまう背景
こうした心の状態が生まれる原因には、大きく分けて二つの理由があります。
一つ目の理由は、愛情や保護の不足した状況で適切に守られずに育った場合です。
その場合、子どもは誇大な万能感を胸に抱くことで、どうにか心のバランスを保とうとしてしまうからです。
そして二つ目の理由は、過保護に守られ過ぎた環境で育ち、自分の願望は何でも満たされるのが当然という感覚が身に付いてしまうためです(自分が必要以上に良い子を演じ過ぎた結果)。
最近急増している若年層のパーソナリティ障害者に多いのは、後者のようなタイプかもしれません。
これらの幼児的な万能感が前面に出ている時は、親は奴隷のように、あるいは小間使いのように扱われていることも少なくありません。
皮肉なことですがこういった家庭では、逆に彼らが幼い頃に親に一方的に支配されていたケースも珍しくないのです。
大人になるということ
大人になるということは、幼児的な万能感を内蔵したり、手放したり、自分の長所や短所などもひっくるめて、限界のある一人の人間であるということを受け入れなければなりません。
こいったことにパーソナリティ障害者が直面することはとても苦しく、辛い作業でもありますが、遅かれ早かれ、このプロセスを通らない限りは、本当の回復はありえないと思っています。