皆さん、こんにちは。

佐藤矢市先生の「パーソナリティ障害の回復には決断と見守る連携が必要」シリーズ第5回目となります。

パーソナリティ障害の心理ケアは、いわゆる堂々巡りの連続です。
同じような失敗を、何度も何度も何度も繰り返します。

「また、同じことか!」

と、支えている方も徐々に嫌気がさしてくることがありますが、この堂々巡りに付き合うということこそが、パーソナリティ障害の人の支援だと言っても過言ではありません。

今回はその「堂々巡り」について深掘りして参ります。

無力に感じても耐えること

例えば、些細なやり取りでもすぐに「馬鹿にされた!」と憤り、「殺してやる!」などと大声をあげ、物を投げたり暴れたりしている方が居たとしましょう。

そんな時は、感情の高ぶりが収まってくれるまではしばらく待ちます。

そして、冷静さを取り戻した頃に、その時の状況と感情を整理し、振り返ってもらい、「今度同じようなシチュエーションになったら、どうすればいいか?」ということを一緒に考えていきます。

その時は本人も納得して話し合っていたとしても、数時間後、あるいは数日後に全く同じようなシチュエーションで同じようなアクションを取ってしまいます。

もしくは、夕方頃になると、決まって不安になったり、寂しくなったり、パニック発作を起こしてしまう方や、自傷行為を繰り返す方、パチンコやアルコール依存に逃げ込む方もいました。

彼らとじっくり話し合い、色々と対処法を考えてみても、やはり数時間後や数日後には、全く同じ行動を繰り返してしまうのです。

これはある意味、支援者にとっては、無力感を突き付けられてしまうことになります。

なぜなら、やってもやっても同じことの繰り返しですから、何の成長も無いように思えてくるのです。

この「無力感」に耐え続けていけることも、パーソナリティ障害の支援者には必要な資質なのです。

繰り返し、乗り越え、その先にある喜びと気づき

パーソナリティ障害のお子様を抱えるご家族であれば、この「堂々巡り」という言葉が一番しっくりくるのではないでしょうか。

「親の育て方が悪かった。責任を取れ!どれだけ苦しんでいるのかわかっているのか!」というようなお決まりの訴えから、長時間にわたる親への説教や、警察への通報など、来る日も来る日もその対応に追われていくのです。

何かの魔法のように、急に状況が改善されるようなことを幻想してしまうと、現実に絶望し、全て投げ出してしまいたくなってしまうことさえあります。

パーソナリティ障害の特徴の一つに、「ある局面ではすごく良くなるけど、また何かの拍子に同じ失敗を繰り返す」ということがあるのです。

パーソナリティ障害に限ったことではなく、人間はそう簡単には変われません。

ましてや、年齢を経ていればいるほど、考え方や癖、人間関係のパターンが根強いものになっています。

長い年月をかけて身に付けて来た癖やパターンは、そう簡単に変わるという事はないのです。

逆に、これらの癖やパターンは、ある種の個性であるとか、他人とは違った独創性(生き方)であると捉えて、大切に見守る気持ちで付き合うということも一つの方法としてあります。

そうして、この堂々巡りを徐々に乗り越えていくうちに、少しずつ、そしていつの間にか大きく変わっているということもあるのです。

当センターでは、そういったことの繰り返しを、日々研修生と共に経験し、成長へと繋げていきます。

悩みを通して新しい自分や生き方に気づき、可能性を見出していくのです。