皆さん、こんにちは。
強い自己否定感や自殺未遂・自殺企図によって周囲を自分の思い通りにコントロールしようとするなどを特徴とする症状は、「境界性パーソナリティ障害」と呼ばれるものの典型的なケースです。

自らの命を危険にさらしてまで愛情や関心を求めようとするのは、基本的な安心感が乏しく、絶えず激しい愛情飢餓にさいなまれているためなのです。

また気分や考えが両極端に変動しやすく、気に障ることがあると、絶好調から絶不調に急変してしまいます。まるで、ジェットコースターのように気持ちが急降下してしまうのです。

常に「愛の証」を追い求め、その期待が裏切られると絶望感に襲われ、簡単に自殺未遂に走ってしまうのです。

命がけで愛情を欲しがるAさん

Aさんは、年が倍近い男性と頻繁に付き合っていました。
もちろん、男性には妻子がいましたが、最初はいつも幸せいっぱいでした(彼女は既婚男性としかお付き合いすることが出来ませんでした)。

ところが、二人の関係はすぐに地獄の様な日々へと変わってしまったのです。

Aさんは、相手の男性の些細な言葉に傷ついては、自傷や自殺未遂を繰り返すようになっていきました。

毎日毎日繰り返されるAさんの行為に、男性はヘトヘトに疲れ果て、最後にはAさんを避けるようになってしまったのです。

Aさんは、相手の男性を待ち伏せしたり、自宅に無言電話を繰り返すようになり、ストーカー行為が目立ち始めてきたのです。

さすがに対応に困った相手の男性は、Aさんの「もう諦めるので最後に1度だけ会ってほしい」という言葉を信じて、男性がAさんの部屋を訪れると、待っていたのは大量服薬(OD)した上に、手首から血を流している昏睡状態のAさんだったのです。

このケースでは、妻子持ちの男性がAさんにとっての愛情欲求の対象になっていましたが、多くの場合、これが家族になるケースも少なくありません。

接し方のポイント:

境界性パーソナリティ障害の方は、愛情や関心を与えられずに「自分は損をした」と思い込んでいます。

それを取り戻すために、ある意味、もう一度赤ちゃんからやり直そうとしています。

こういった方への接し方は、大きく分けて二つあります。

一つは、赤ん坊からもう一度育ち直しをするのに、とことん付き合うことです。

どんな行為や言動にも、一切否定せずに受け止め続けていくことです。

際限ない赤ちゃん返りにもヘトヘトになろうが、彼らの振り回しにつき合い続けられるかが問われてくるのです。

もう一つは、望み通りにはしてやれないので、「自分で乗り越えてくれ!」と現実を突きつけることです。

これは家族や周囲には相当な覚悟が必要になってくるでしょう。

ある程度の自殺未遂や暴言・暴力などの「試し行為」は想定しておく必要があります。毅然とした態度と一貫した対応が問われてくるのです。

しかし、回復されていったケースを振り返ってみると、結局、そのどちらか一方というより、両方がギリギリの所で、うまく作用し合って、本人の中に変化が生じたケースが多いように思います。

優しさと厳しさが必要

どちらか一方だけではダメですが、両極端に方針が揺れてしまうのはもっとダメです。

本人にとっても支える側にとっても、一番現実的で無理がないやり方は、「ここまでは助けられるが、ここから先は自分で何とかしてくれ」と、一定の線引きをすることです。

ただし、これはただ突き放すのではなく、本人が自分の足で立てるようになるためなのです。

一定の限度の中で、本人の愛情欲求や依存欲求を満たしていくことは、子どもを育て、しつけをするのと基本的には同じです。

ただ違いは、相手が、知恵もあり、口も達者で、力も強い大きな子どもだということです。

そういった彼らに接する上で大切なことは、優しさと厳しさのどちらもが必要になってくるということです。

ひたすら彼らの訴えを受容的・共感的に聴いているだけでは、何の変化も訪れません。

受け止めるが、叱りもする」というその両方のバランスが大切なのです。

境界性パーソナリティ障害の人は、受け止められる以上に、叱ってくれる存在を求めています

見捨てられたと思わずに、叱れる関係になることが成長のための一つの秘訣になってくるのです。