皆さん、こんにちは。

佐藤矢市先生の「パーソナリティ障害の回復には決断と見守る連携が必要」シリーズ第3回目となります。

今回は、パーソナリティ障害と併発して「発達障害」の診断を受けていらっしゃる方たちのお問い合わせが増加傾向にあることについて解説して参ります。

発達障害だけではない?

「発達障害」と診断された方の多くは、成人でありながらも、それまでの人生の中で、様々な心の傷を負っていて、周囲に理解されない孤独感を抱いています。

それゆえ、強い衝動性や他責行動(暴言や暴力など)、数々の依存症や脅迫行為などの二次障害を抱えているケースが多く、一般に理解されにくいという特徴を持っています。

実際、当センターに問い合わせをいただくケースの中には、純粋な「発達障害」以外に、いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれるような曖昧なケースが多く見られます。

当然、パーソナリティ障害者にもみられるような、未遂や自傷行為、親への家庭内暴力などを繰り返している発達障害者も少なくありません。

こういったケースの場合、発達障害を対象とした支援のみに疑問を持たれているご家族も多く、もっと心の深いところにある「子どもの叫び」を理解し、支援してくれるような専門機関を求めていらっしゃいます。

発達の問題との関連

人格的な偏りが見られる方の中には、子ども時代から何らかの発達面の問題を引きずっているケースがあります。

その代表的なものが、自閉症スペクトラム(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)です。

ADHDは、主に行動のコントロールに問題を抱え、「多動で不注意」で、「衝動的な傾向」を特徴とします。

一方ASDは、社会性や対人関係の面に困難を抱え、「視線を合わせない」、「コミュニケーションや対人関係に消極的」だったり、「一方通行」になり、相手の気持ちや場の「空気を読むことが苦手」で、周囲からズレてしまったり、浮いてしまうことがあります。

こういった発達障害を抱える方たちは、どうしても集団生活がうまくいかなかったり、トラブルを起こしたり、孤立してしまったりして、社会的な体験が辛いものになりがちです。

また、親や周囲からも否定的な扱いを受けたり、いじめやいびりのターゲットにされたりすることが多いのも実情です。

希望への幸福感が持てること

そうした否定的な経験の積み重ねは、当然、対人観や自己観を劣悪なものにしてしまい、パーソナリティの形成に大きな影を落とす結果となります。

発達障害自体がパーソナリティ障害へと発展するのか、それとも発達障害の抱えるハンディが心理社会的な体験を不利なものにして、パーソナリティ障害になりやすい要因となってしまうのか、その点については今後の研究を待たねばなりません。

しかし、実際の現場では、発達障害とパーソナリティ障害が重なり合う、いわゆる「グレーゾーン」のケースが多く、様々な問題行動を起こすことによって、家族や周囲を振り回し、その対応に毎日追われ、疲弊しきっているご家族が、当センターへ助けを求めてきているのも現状なのです。

無理をせず、一人で悩まないということを心に留めておいてください。

その人の生きる意味の重要性に気づき、生きる事への幸福感を実感できるよう支援します。