皆さん、こんにちは。
シリーズブログの第一部「小さな気づきで全てが変わる~Small changes make
a big difference」11回目になります。
以前の記事にも書いたように、パーソナリティ障害者の多くは気持ちの一貫性が保ちにくく、目先の状況によって考えが移ろいやすく、自分の思い通りにいかなかったりすると「治療や援助自体が何の役にも立たない」などと言い出したり、様々な不満を並べだしたりします。
今回は、パーソナリティ障害者が与えてくるそれらの「揺さぶり」をどうやって乗り越え、対処していくかについて語って参ります。
パーソナリティ障害の中核的な問題
通院や来談するような通常の治療やカウンセリングなどでは、実は途中で中断してしまうことの方が普通だったりします。
このことが一般の医療機関でパーソナリティ障害の治療を難しくさせている一番の理由です。
またパーソナリティ障害者は、取り扱おうとしている問題自体よりも自分と治療者(援助者)との関係性にばかり注意が向き、愛情や関心の取り合い、または自分の要求を受け入れてくれるかどうかにこだわってしまう傾向にあります。
タイプによっては、自分の思い通りに操作しようと強引に振り回し行動をしたり、攻撃的な行動に出ることもあります。
実はこの点こそがパーソナリティ障害の中核的な問題であり、どう対処できるかが問われてくる部分でもあります。
問題へ取り組む際の基本姿勢
こうした様々な「揺さぶり行動」にも動じることなく、あくまでも冷静に、かつ誠意をもって対処し続けることが重要です。
こちら側がビクともしない一貫した態度が相手を落ち着かせ、信頼関係を築き上げていきます。
こちら側の枠組みを超える行動や要求には、はっきりと「NO」と伝えることも大切です。
曖昧にしたり少しでも妥協すると、すべての治療や援助は相手の都合や要求を満たしてあげるだけの関係となり、本当の意味で「自立する能力」を高めることからどんどん外れていってしまいます。
枠組みが曖昧になるとパーソナリティ障害者はどんどん不安定になっていくことも多く、自傷行為や家庭内暴力が増えてくる場合もあります。
それだけにしっかりとした枠組みを設けることで彼らを安定させることができるのです。
これらの対応は、見方を変えれば本来の意味での父親的な存在に似ています。
揺さぶりを乗り越え、彼らとしっかりとつながることができれば、その人は自然と変わり始めます。
何が問題であって、どこを治していく必要があるのかという問題意識を共有し、目標が定まり、最終的には「全ては自分の責任と受け入れ方次第だ」ということに気づく頃には本来の主体性が回復し始め、行動にも少しずつ変化が生まれてくるのです。