皆さん、こんにちは。
今回は、10タイプあるパーソナリティ障害の内、「境界性パーソナリティ障害(ボーダーライン)」について、その概要を佐藤矢市先生よりご説明させていただきます。
概要
境界性パーソナリティ障害は、ここ30年ほど、臨床の現場で急増し、最近では一般にもよく知られるようになったタイプの人格障害(パーソナリティ障害)です。
境界性パーソナリティ障害は、別名「ボーダーライン(境界)」とも呼ばれています。
これは、もともと精神病レベルと神経症レベルの境界(ボーダーライン)を意味する「境界状態」という言葉を、アメリカの精神科医ナイトが用いて、その存在を知られるようになりました。
男女比としては、男性:女性が1:3と、女性が圧倒的に多いのが特徴です。
私の経験上からみても、女性の比率が圧倒的に多いです。
発症年齢は10代~30代ですが、私の感覚からするとその年齢層は下がってきているように思います。
境界性パーソナリティ障害は、情緒面や対人関係の変動の激しさと、周囲に対する操作的な態度を最大の特長としています。
一時間前まではニコニコ顔でハッピーそのものだったのに、相手の些細な一言で傷つくと、急に不機嫌になり、「死にたい」と言い出して、問題行動を起こしたりします。
5分前までにこやかに話しをしていたのに、本人の都合の悪いことが起きた途端に、突然、カミソリで手首を切ったりします(自傷行為)。
周囲の人達は、急にこんな行動をされては困ってしまうので、言いたいことも我慢して、腫れ物にさわるように接することになります。
境界性パーソナリティ障害の人は、根底に、『孤独感』や『強い自己否定感』、『実は甘えたい』といった感覚を抱いています。
リストカットやODなどの自殺企図には、愛情や関心を得たいというだけではなく、モヤモヤ感から自分を消し去りたいと願う、自己破壊的な衝動を伴っている場合もあります。
こういった自己否定感は、幼い頃に、愛情の充足や安心が脅かされた体験に根差していることが多く、その最も典型的なものは、『虐待を受けて育った人』や、『必要以上に自分を認められたい人』に見られます。
まとめ
以上が境界性パーソナリティ障害についての一般的な概要でした。
私自身も20年以上、人格障害を専門領域として活動していますが、境界性パーソナリティ障害者と向き合う時は、本当の意味でぶつかり合い、そして強い覚悟が必要だと考えています。
私の臨床歴の中には、境界性パーソナリティ障害として私と出会い、様々な困難な状況を乗り越え、社会に羽ばたかれていった多くの方々がいます。
その多くは、介護士や看護師のような対人援助職に就かれました。
「人から感謝されるという自覚」は、境界性パーソナリティ障害の改善に大きな効果があるように思います。
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