人格障害(パーソナリティ障害)を抱えた当事者たちの多くは、自ら社会とのつながりを断絶し、置き去りになったことによる自信喪失、自責、他責などで苦しんでいる方がほとんどです。
「障害によって失った時間はもう二度と取り戻せないのだろうか…」
そんな後悔の念がやがて恨みや憎しみへと変わり、ふとしたことで激しく憤ったり、我慢できずに不満をぶつけてしまうようになってしまいます。
心理ケアの現場でも、感情のコントロールがうまくいかずに同じような失敗を何度も何度も繰り返してしまう当事者たちの姿をよく見かけます。
ケアを行う側の人間(支援者)も、同じ失敗を目にする度に「またか!」とついつい思ってしまうかもしれませんが、その繰り返しは決して無意味でないということを決して忘れてはいけません。
この堂々巡りのようにも思える失敗の繰り返しを乗り越えることで”自分の個性”というものに気づけるのですが、それはどういった意味を持っているのか。
今も人格障害に苦しんでいる皆さんのために、その理由を説明していきたいと思います。
無力に感じても”耐える”
当施設へ入所された方たちの多くは、何らかの人格障害やその他精神疾患を持っています。
そのため、人一倍感情の浮き沈みが激しく、周囲の人間たちを振り回すようなことは日常茶飯事です。
彼ら(彼女ら)の感情がたかぶっている時、私ども支援者は収まってくれるまで辛抱強く待ちます。
そして冷静さを取り戻した頃合いを見計らって、話し合いを始めます。
話の主な内容は、その時の状況や感情の整理、振り返りなどです。
「今度同じようなシチュエーションになったら、どうしようか?」
といったように、冷静になった頭で一緒に今後同じ失敗をしないための対策を考えるのです。
しかし、その話し合いの中では本人も納得していたかのように見えたとしても、油断できません。
大抵の場合、数時間後、あるいは数日後に全く同じようなシチュエーションで同じようなアクションを取ってしまう傾向にあるからです。
あるいは、その日のうちに不安になってしまったり、寂しくなったり、パニック発作を起こしてしまう方や、自傷行為を繰り返したり、パチンコやアルコール依存に逃げ込む方などもいました。
本人たちとじっくり話し合って色々と対処法を考えてみても、結局は同じことを繰り返してしまうというのは、支援者にとって無力感を突き付けられてしまう一面を持っています。
たとえ表面上は何の成長も無いように思えたとしても、目に見えない部分では確かに学習していますし、その証拠に長い時間をかけていけば変化が起こります。
持っている障害の特性上繰り返してしまうことを抑えられないということは、本人にとっても苦しい部分なのです。
心理ケアに関わる人間がどうしても感じてしまう「無力感」に対する忍耐力も、障害を克服していくためには必要な資質と言えます。
乗り越えた先に見える可能性
精神疾患を持った子供を抱えるご家族であれば、来る日も来る日も対応に追われることに疲弊しきっていることでしょう。
「親の育て方が悪かった。責任を取れ!どれだけ苦しんでいるのかわかっているのか!」
子供からこのように責め立てられる毎日を送るうちに、何か魔法のように状況が改善されるようなことがないかと思ってしまうほど現実に絶望し、全て投げ出してしまいたくなる気持ちも理解できます。
例えば、人格障害の特徴の一つに
”ある局面ではすごく良くなるけど、また何かの拍子に同じ失敗を繰り返す”
というものがあることをご存じでしょうか?
障害など持っていなくとも、元来、人間はそう簡単に変われるものではありません。
まして年齢を経ていればいるほど、”考え方”や”癖”、”人間関係のパターン”などが根強いものになっていることも、変化や成長を妨げている要因と言えるでしょう。
長い年月をかけて身に付けてきたものは、心と身体に染みついてしまっているからです。
しかし一方で、これらを無理に変えようとするのではなく、ある種の”個性”であるとか、他人とは違った”独創性(生き方)”であると捉えて、大切に見守る気持ちで付き合うという逆の考え方も存在します。
このような発想ができるようになってくると、この堂々巡りを乗り越えるヒントとなり、少しずつ、そしていつの間にか大きく変わっているということもあるのです。
当施設では、ひとりでは思いもつかなかったような”新しい考え方”や”物事の捉え方”などを、ノウハウを豊富に持った私ども支援者が一緒に考え、共に歩を進めていきます。
その繰り返しの日々から得られる経験などから、自分の失った時間や過去を取り戻す方法にも気づき始めるのです。
それは、遡って親に償わせるというやり方ではなく、これから自分がどう楽しく人生を生きていくか次第であるという、可能性に気づけるかにかかっていると思っています。
私ども支援者は、皆さんの持っている個性や可能性といったものに気づくための案内役として、施設で生活を共にしているのです。
「パーソナリティ障害宿泊・心理支援センター」
施設長
佐藤矢市
2000年度に開設以来、本来安心できるはずのご家族において、親も子も安心して暮らすことができないということは本当につらいことでしょう。私たちはそうしたご家族の一助となれるよう、尽力しております。
費用
初回面談 施設見学 |
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初回面談の特典 |
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宿泊料金 | 支援ニーズにより異なります。まずはお問合せください |
※詳しくは下記URLよりアクセスください。
心理障害グループホーム「地上のひかり」
施設長
佐藤靖人
2021年度に開設し、この度「JECパーソナリティ障害宿泊・心理支援センター」と業務提携を結びました。
心理障害を抱えた方に向けて、心理ケアやスポーツが盛り込まれた生活を通し、楽しく学びながら成長し、将来への希望が見出せます。
月額利用費を抑えながらも支援の質を落とさず、自立や社会復帰に向けた生活支援を行う居住空間をご用意いたしました。
費用
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月額料金 |
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心理障害レベル |
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