皆さん、こんにちは。

佐藤矢市先生の「パーソナリティ障害の回復には決断と見守る連携が必要」シリーズ第8回目となります。

今回は、10タイプあるパーソナリティ障害の中でも、「回避性パーソナリティ障害」の方の特徴と、回復に必要なことについて解説して参ります。

回避性パーソナリティ障害とは?

回避性パーソナリティ障害は、パーソナリティ障害の診断基準であるA群、B群、C群の内、C群に分類され、「不安タイプ」と呼ばれるものです。

自己主張は控えめで、不安が強く、自己本位というより他者本位なのです。

回避性パーソナリティ障害には、自分が傷つくことや、失敗することを恐れるあまり、人と接触したり、何かに挑戦すること自体を避けてしまうという特徴があります。

傷つきたくない!失敗したくない!

彼らは『どうせ自分は失敗してしまう・・・』『どうせ自分は人から嫌われてしまう』という否定的な思い込みが強いために、最初から何もしないでいるのが一番安全で楽だと思っています。

何かに挑戦したり、行動するということは、失敗したり、他者から嫌われてしまう可能性が高まるので、それだったら何もせずに引きこもっている方が安全策という考え方なのです。

その結果、進学や就職、結婚などのような人生の大きな選択を避けたり、あえて自分にとってマイナスとなるような選択肢を選んだり、自分からわざわざチャンスをつぶしてしまうことさえあります。

心の深い所では、「自分は幸せに値する人間ではない・・・」という思い込みを持っているので、幸せが近づいてくると大急ぎで逃げてしまうのです。

何より失敗をして恥をかくことを極度に恐れるために全てのチャレンジを諦めてしまうのです。

「迷った時はやってみる!」思考

回避性パーソナリティ障害の人は、とにかく自信のなさと失敗の不安にとらわれてしまい、身動きが取れなくなっています。

何か誘われても、何かやりたいと思っても、「うまくいかなかったらどうしよう・・・」と思ってなかなか行動に移せません。

要は行動するよりも先に色々と考えてしまう傾向が強いということです。

このタイプの人には、時に考える前にとにかく「行動してみる」というスタンスが必要になります。

思い切って行動してみると意外に失敗の恐れや不安というものは消えていくものです。

「失敗しても大したことではない」ということが、体験としてわかってくることが必要なのです。

やろうかやるまいかと「迷った時はとにかくやってみること」が大切ということですね。

しかし、ただやみくもに行動しようと思っても、そう簡単にできるものではありません。

ましてや、長期的に引きこもっている方たちにとっては、最初の一歩を踏み出すことはとてつもなく大変なことなのです。

回復にはどんな支援が必要?

パーソナリティ障害支援センターでは、このタイプの方たちが抱いている「失敗する不安や恐怖」は、高すぎる理想やプライドや、周囲の期待、課せられた目標の高さから来ているものと見立てていきます。

ですから、行動を促す前にいったん理想やプライド、期待や目標から自由になれるよう支援していきます。

高いプライドや高い期待をいったん引き下げるという作業を一緒に取り組んでいくのです。

これを繰り返していくことで、いつしか自分から「何かやってみよう!」という気持ち(自主性)が生まれ始め、「行動」に移せるようになってくるのです。

もしかしたら、どこか気づかないところでムリをしているのかもしれません。

本来の自分が持っている「自分らしい生き方」から大きく外れてしまっていると感じているのなら、本来の自分の顏や気持ちを取り戻せるように一緒にがんばってみましょう。