皆さん、こんにちは。
シリーズブログの第一部「小さな気づきで全てが変わる~Small changes make
a big difference」28回目になります。
パーソナリティ障害を抱える家族は、高い確率で共依存関係になっている場合がありますが、その多くは「問題を起こす子どもと母親」の関係や、「夫婦どちらかがパーソナリティ障害」といった関係に見られます。
今回は、本人たちも全く自覚のないまま陥ってしまうこの共依存関係について解説して参ります。
他者をコントロールしていく共依存
まず、共依存の核には他者へのコントロール欲求があります。
人に自分を頼らせることで相手をコントロールしようとする人と、人を頼ることで相手をコントロールしようとする人との間に成立するような二者関係を共依存と呼びます。
こうした関係にある二人は、お互いに相手をむさぼりつくすので「憎しみながらも離れられない」とか、「軽蔑しながらいないと寂しい」といった愛憎入り混じった間柄へと発展してしまいます。
共依存者は自己評価が低いので、本来の自分の判断を否定したり、隠してしまうことがあります。
暴力を振るう夫に対する恐怖や緊張に耐えている女性たちは、自分の居心地の悪さなどの感情には目を向けようとしません。
そういった人たちは、人間の持っている自分の身を守るために備わっている本能的な感覚のようなものを忘れてしまっているようです。
最近多くなってきた「彼氏、彼女間のDV」も、ふたを開けてみたら共依存関係だったということも少なくありません。
共依存とDV
相手からどんなんひどい暴力や仕打ちを受けたとしても、最終的には相手の元へと戻っていってしまう・・・。
普通に考えたら、どうしてそんな危険な相手にわざわざ自分から近づいていくのかと思ってしまうかもしれませんが、それでも何かに引き寄せられるかのようにDVパートナーの元へと戻ってしまうのです。
そして、その理由をいざ聞いてみると「相手がいないと寂しいから・・」「私には相手が必要だから・・」といった具合です。
この二者関係では、まるで「世話を焼く大人」と「世話を焼かれる子ども」というような「支配するものとされるもの」という関係が出来上がっています。
DVをする人たちの中には、爆発的な暴力衝動が生じると、自分ではコントロール不可能になるという方がいますが、これも子ども返りの一種と言えます。
しかし、この種の人間はいつも暴れまわっているというわけではなく、自分を抑制し、静かにしている時もありますが、この静かにしている時こそ、「暴力への欲求」が蓄積されている時なのです。
そんな彼らの多くは「自己愛性パーソナリティ障害」を持っている場合が多く、とても傷つきやすいという一面を抱えています。
お互いにしがみつく関係
パートナーの緊張の高まりを察してご機嫌を取ったりしてなだめてみた結果、一時的にうまくいってしまうと、相手を上手くコントロールできたと錯覚し、自分の能力に自信を持ってしまいます。
しかしそれは、いつしか破たんして再び暴力が爆発するという事態へつながります。
一方、暴力を振るった側は、発散しきった後になってから自らの行為を悔み、相手に許しを求め、「離れないで」としがみつきます。
暴力で傷つけてしまった相手をいたわり、贈り物をしたりして「二度と暴力は振るわない」と誓いを述べます。
暴力を振るっていた時とはまるで別人であるかのように振る舞ってくるわけですが、その時、暴力を受けた側の心には「この人は私の存在なくしては生きられない、かわいそうな人なんだ」という気持ちが芽生えてしまいます。
この「自分がいないと、この人は生きていけない」という気持ちこそが、共依存の特徴であると言えます。
こういったことを長年繰り返している彼氏彼女、夫婦関係は決して珍しくありません。
もちろん最初に述べたように、この問題は子どもと親(とくに母親)という関係でも起こり得ます。
これらに該当する方は、依存関係をいつまでもズルズルと続けないためにも、早めに専門機関に相談するなりして対処することをおすすめします。