「もう、生きるのがつらい…」
これは人格障害(パーソナリティ障害)などの精神疾患を持った方がよく口にするフレーズです。
激しい感情の浮き沈みや、強い見捨てられ不安、空虚感、低すぎる自己肯定感などが重なることで「死にたい」などと口にしたり、自傷行為(リストカット)や自殺未遂(自殺企図)を繰り返してしまうことがあるのです。
このような生命にかかわる問題行動は、身近な家族にとっても尋常でないほどのストレスと不安を感じるものであり、速やかな対応が求められます。
今回は、そうした危険行為を繰り返してしまう子どもの心理を読み解き、どのような支援が必要なのかについて説明していきたいと思います。
自殺未遂の傾向
人格障害などの精神疾患が原因とみられる自殺未遂には、臨床研究からその傾向が明らかになってきています。
例えば、原因として考えられる要素には、遺伝的な資質や、環境や社会の影響、障害や疾患、その他様々なものの影響を受けて実行されることがわかっています。
また、人口統計的なデータを見てみると、独身の方や、職に就いていない方、若い女性の比率がやや高いように思えます。
実際に当施設の過去の臨床データからも、人格障害を持った若い女性に自傷行為や自殺未遂などが多く確認されています。
当事者である親たちはそんな子どもを見守る傍らで、一刻も早く危険な行いをやめさせたいと願い、必死に助けてくれる”誰か”を探し続けているのです。
しかし残念なことに、そうしたハイリスク(生命の危険)のある子どもを積極的に引き受けてくれるような病院や施設が少ないのは言うまでもありません。
※画像引用元:https://twitter.com/wildriverpeace/status/927168224768139264?lang=hi
ある母娘のケース
当施設の過去の臨床記録にある母親と娘のケースでは、娘が母親を毎日のように責め続け、説教したり激しく暴力を振るったりしていました。
「私の人生は母親のせいで狂わされた!責任を取れ!」
といった具合に、自分の今の状況は全て母親が招いた結果だと言わんばかりに責めるのですが、同時に娘は母親を責めながら、心の中では複雑な思いを抱いていました。
当施設の心理士が彼女(娘)とカウンセリングを行い、当時の心境を聞き出すことができました。
「本当は”全部が”母親のせいじゃないことはわかっていた」
「母親に対してひどい仕打ちをしてしまっている自分が嫌だった」
「ただ気持ちをわかって欲しかっただけなのに、いつも怒鳴りつけていた」
「こんなことを続けていても一向に気持ちを伝えることはできないと思った」
こうした思いから、彼女は自分の気持ちに気づいてもらうために自傷行為や自殺未遂を繰り返すようになっていったのでした。
ずっと親を責めることで訴えてきた彼女は、今度は自分の身を犠牲にすることで、母親を振り向かせ、気持ちに気づいてもらおうとするように変わっていったのです。
結論から言うと、この親子は娘の自殺未遂を恐れた母親が必死になって助けてくれる病院や施設を探し回り、当施設へとたどり着き、支援へと結びつくことで事なきを得ました。
自殺未遂をなくすために
この親子のように、自殺未遂を繰り返してしまうような子どもは、その全てが自分の生命を軽んじているわけではありません。
自らの命を絶つことを目的とせず、行為そのものを見せつけることで親(家族)の気を引こうという意図(自傷行為の延長)があるのです。
また、人格障害などの特性からくる不安感や空虚感、気分の浮き沈みなどが影響して一時的に”死にたい”気分になってしまうことも、自殺未遂に及んでしまう大きな原因の一つです。
どのケースにおいても大変危険な行為には変わりないので、”いつ間違いが起きてもおかしくない状況”と捉えていただき、「どうせ本気じゃないんだろう?」といったような勘違いだけは決してしないでください。
子どもにとってはそこまで思いつめてしまうほどに葛藤や苦悩を伴う深刻な問題なのです。
この母親は早々に自分の手には負えないと考え、自分だけで抱え込まず必死になって支援先を探したのですが、図らずもこれが”専門家のすすめる最善策”であったことは奇跡としか言えません。
こうした子どもには、自分の苦しさやつらさ、不安などの話を聞いてくれて、その心を理解してくれる存在がそばに居てくれることが何よりも重要です。
理解者とは、時に家族であったり、友人であったり、精神科医や心理士であったりします。
当施設がハイリスクを承知で自殺未遂にお困りのご家族に対しても支援の手を差し伸べているのは、そうした”理解者の存在”が必ず助けになると確信しているためです。
大切な子どもの生命に係わる自殺未遂にお困りでしたら、ぜひ一度当施設へご相談ください。
専門施設として「パーソナリティ障害宿泊・心理支援センター」
施設長
佐藤矢市
2000年度に開設以来、本来安心できるはずのご家族において、親も子も安心して暮らすことができないということは本当につらいことでしょう。私たちはそうしたご家族の一助となれるよう、尽力しております。
費用
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心理障害グループホーム「地上のひかり」
施設長
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2021年度に開設し、この度「JECパーソナリティ障害宿泊・心理支援センター」と業務提携を結びました。
心理障害を抱えた方に向けて、心理ケアやスポーツが盛り込まれた生活を通し、楽しく学びながら成長し、将来への希望が見出せます。
月額利用費を抑えながらも支援の質を落とさず、自立や社会復帰に向けた生活支援を行う居住空間をご用意いたしました。
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