皆さん、こんにちは。

今回は、当センターへ数年前に入所し、無事卒業して社会復帰を見事に成し遂げた女性(境界性パーソナリティ障害)の体験談を一つご紹介したいと思います。

※本人同意の上、個人が特定されないよう一部内容を修正しています。

30代女性の体験談

以下、卒業生の体験談になります。

『私は境界性パーソナリティ障害と診断され、医療機関へ入院したくても、ほとんどの場所で受け入れを嫌がられてしまい困っていました。

当時の私は毎日のように「死にたい・・・」とばかりつぶやいていました。

対人恐怖もあって人とのコミュニケーションもうまく取れず、いじめられる日々でした。

とにかく必死で毎日を生きている私に家族の誰も気がつかず、それどころか「ダメ人間」や「怠け者」呼ばわりされ、乱暴な言葉を投げかけられたり、暴力を振るわれたりしていました。

どこにいてもひとりぼっちとしか感じられなくなった私は、死を考えるようになりました。

実際に自殺未遂もたくさんしましたし、私の人生はこのままダメになるんだと絶望していた時に、ケースワーカーの紹介でセンターに出会いました。

入所時は毎日毎日2時間以上も愚痴や不安、恐怖についてスタッフや仲間(研修生)に聞いてもらっていました。

答えのない会話を全身全霊で受け止めるのは、精神的にも難しいと思いますが、ここでは真剣に聞いてくれた後に、「よく頑張っているね。立派だよ。」と嫌になるどころかいつも褒めてくれて、ものすごくうれしかったのを覚えています。

でも、自分で自分を褒めたことのない私には、人から褒められても「いったい何を頑張って褒められたんだろう?」「何が立派だったんだろう?」と、何もわかりませんでした。

それでも根気強く接してもらったことで、自分を否定して受け入れないということは色々な苦しみにるながるんだということに気づけて、いつのまにか「私はがんばっている」と胸を張って言えるようになり、対人恐怖も過去の家庭環境も許せるように変化していきました。

スタッフや仲間たちの助けもあり、日々努力を続けた結果、私は福祉関係の仕事に就くことができ、責任者に任命されるまでになり、充実した日々を送れるようになってきました。

数か月前、以前より付き合っていた彼との結婚を決意し、大好きな彼との間には来春には子供が生まれる予定もあります。

死にたいとばかり言っていた私がここまでやってこれたのは、自分や家族だけの力では成し得なかったと思います。

薬などでは行き届かない領域、潜在意識から変えていかなければ良くならないということを身をもって知り、根気強く見守ってくれる先生やスタッフ、仲間たちのおかげで「死にたい」という世界しか見えなかった私を違う世界へと導いてくれて、とっても感謝しております。

親にも感謝できるようにもなりました。本当にありがとうございます。

今度赤ちゃんも連れて久しぶりにセンターへ行く予定です。

今から楽しみです!』

 

振り返ってみて

彼女の人生は本当に波乱万丈なものでした。

彼女が無事社会へ復帰できたのも、周囲の助力はもちろんですが、本人の努力のたまものではないかと思います。

諦めず、協力して問題に取り組み、本来の自分を取り戻して自分の人生を歩み始めていかれました。

今まで余計なことに費やしていたエネルギーをしっかりと自分自身のことに使えるようになり、とても楽な生き方を見つけられたようです。

そして今現在も、たくさんの研修生たちが彼女のように、周囲と協力しながら自分の人生を見つめ直しています。