母への暴力が続いているが、母子を引き離したほうがよい?
私どもの経験としては、「早いほど良い」の印象があります(その準備や介入方法は丁寧に行う必要があります)。
というのも、暴力や暴言は、「エスカレートする傾向」が懸念されるからです。とくに、お母さん側の「疲労」が増幅したり、「体力」が減ったりする点には十分な注意が必要で、皮肉にも、それがエスカレートの加熱剤にさえなってしまうことが少なくないのです。
これに対して、暴力・暴言の発生に早く気づき、そして丁寧な介入(ケア)を行うことができれば、お互いにとって適度な距離感が生まれ、冷静な判断や本来ある素直な気持ち(認めてもらいたい…分かってもらいたい…等)ももっと出てくるでしょう。
でも、だからと言って、母子を引き離すことが支援の主眼となってはなりません。それは、引き離すことよりも「立て直す」ことの方が重要かつ大変な作業だからです。立て直す作業が奏功すれば、親子関係にはより安定した関係と距離感が生まれ、お互いをもっと尊重し合えることになります。
そのためにも、母子を(一時的でも)引き離す場合は、そのような経験のある支援者(機関)の協力は欠かせませんし、またその状況を支えるお父さんや他の家族メンバーさんの協力も欠かせません。
私どものセンターでは、そうした見守りを繰り返していくうちに、母子間には程よい距離感(安心)が生まれてくるのが分かっています。そして、そうした安心をバネにして、お子さんもまた、自らの能力(エネルギー)の真の使い道と自分を大切にする生き方を積極的に動機づけられていくことも知っています。
その第一歩が、「今の母子関係を見つめなおす」という作業ではないかと思えるのです。