大人の発達障害とは
発達障害とは、原因は心ではなく、脳機能の偏りにあるといわれています。家庭環境や親の養育、本人の性格ではありません。
~中略~
それが、大学・専門学校に進学する、社会人になる、仕事の量が増える、人との交流が必要になる、会社等の中で責任を持つ立場になるなど環境が変わり、困難を抱え、二次障害として不安・抑うつや身体症状が出現し、苦悩され、辛い状態となることがあります。※1
特徴
先に述べたように、大人の発達障害と言っても大人になってから急に発達障害が発症したということではありません。
その特性は生まれた時から持っていて、子ども時代はまだ影響が少なく、大した問題として扱われなかったために本人や周囲が気づかなかったという場合がほとんどです。
大人になると、より多くの場面で高度なコミュニケーションやチームワーク、そして精度が要求されるようになってきます。
そんな中、やりにくさやもどかしさを経験する回数がどんどん増えていき、ある日ふと異変に気づきます。
そして病院などで診てもらった結果「発達障害」と診断されるのです。
治療
治療を目指す上で、当事者と支援者たちが気に留めておかなければならない点があります。
それは、発達障害は生まれ持っての脳機能の偏りが原因であるため、完治を目標にしていないという点です。
あくまで、持って生まれた特性を理解し、その人に合ったやり方を探したり、環境を整えたり、対処法を習得していくというやり方で治療を進めていきます。
また、症状によっては、二次障害(睡眠障害、躁うつ、強迫性など)を抑えるという目的で薬物治療を併用することがあります。
大人の発達障害のつらいところは、ほとんどの方が大学に在学中、もしくは就職してから発覚するため、学校や仕事を続けることが困難になってしまうという点にあります。
ですが、悲観したり、落ち込んだりする必要など全くもってありません。
なぜなら、世の中には発達障害の特性を活かした生き方がたくさんあるからです。
例えば、プログラマー、販売員、CADオペレーター、経理、情報処理、コールセンターなどの専門的な職種においては、常人よりも遥かに適性が高い場合があります。
それらの道に進むためにも、まず「自分の特性をよく理解する」訓練から始めていきます。
そして、症状に対する知識と対処法を身につけ、自分に合った道を探しながら医者や専門家と一緒に治療を続けることになるでしょう。
自分を活かしてくれる人や環境は必ず存在し、また以前のように希望を持って日常を送ることも、そう遠くないうちに必ず実現するでしょう。