皆さん、こんにちは。

シリーズブログの第一部「小さな気づきで全てが変わる~Small changes make
a big difference」13回目になります。

以前の記事ではパーソナリティ障害の「基本症状」についてご紹介しましたが、今回は、「よくみられる症状(歪み)」についてご紹介して参ります。

先生の元を訪れる方たち

これからご紹介していく症状は、矢市先生が日々心理臨床を通して実際にみてこられたものです。

具体的な例も含まれているので、同じ悩みを抱えたご家族やパートナーの方々には馴染みのあるものが多いかもしれません。

先生の元を訪れてくる方の中には、家で長期間引きこもっていたり、親に向かって暴力を振るったり、過食嘔吐やアルコールに溺れたり、万引きを繰り返して警察のお世話になったりと、数々の問題行動を起こしている方たちがいます。

家族が困り果てていても、当の本人には問題意識がないので病院にも行きたがりません。

「病院」というワードを発したものなら、「俺(私)を病人扱いするな!」と激高してしまうことも珍しくありません。

そうなってしまうと、家族としては必死でなんとかしたいと思っているにも関わらず、何の身動きも取れないという状態に陥ってしまいます。

そんな親を尻目に、自分の思い通りに行かないことがあると、途端に暴れ出したり、暴言を吐いたりしてさらに親を困らせてきます。

気分の波が激しいので、調子が良い時と悪い時とのギャップが大きく、「こんなに苦しんでいる俺(私)の苦しさが分からないのか!」と親や周囲に自分と同じ気持ちや考えを求め、期待し、それに応えてくれない相手に対して怒りをぶつけてくるのです。

こういったことが毎日繰り返されるわけですから、ご家族や周囲の方はたまったものではありません。

疲れ切った挙句、親がうつ病に陥ってしまうケースも少なくありません。

当の本人は、自分のことはさておいて、他人の悪口や批判を繰り返し、被害者意識を持ちはじめます。

中には自分の都合の悪いことを指摘されると、「頭が痛い・・お腹が痛い・・気持ちが悪い・・」などと体調不良を訴えて逃れようとするような方もいます。

周りの人間にはただただ無力感と敗北感が残るだけとなります。

パーソナリティ障害が抱える二面性

これらの症状や行動はいつも生じているのかと言うと、そうでもありません。

調子の良い時は、むしろ年齢相応の立ち振る舞いができたり、人当たりも良かったりと、ごく普通に接することもできるのです。

この「二面性」こそがパーソナリティ障害の特徴でもあるのです。

自分の中の良い面と悪い面が統合されずに分裂しているわけです。

だから相手の中に少しでも悪い面を垣間見ると、途端に排除したくなるのです。

こういった精神状態は、発達年齢で説明するならちょうど保育園・幼稚園の年中さんくらいの精神年齢に似ています。

感情の調節も苦手で、現実検討も機能しなくなってしまいます。

精神発達年齢を少しずつ上げていくことが彼らを支援していく上で必要になってくるのですが、その第一歩は「安心感」を抱けることにあります。

安全な場所で自分の存在意義を問い直し、周囲に認められる体験をできるかがポイントになってくるのです。

では、病院にも断固として行きたがらず問題行動を繰り返している当事者を、どうしたら私たちのような施設に結びつけることができるかについては、過去の記事でご紹介していますので参考にしてみてください。

親としての本気度や本質が問われる部分ではありますが、どうかご家族だけで悩まずに私たちのような専門機関にご相談ください。

必ず変化への道はあると信じて、諦めないであげてください。