皆さん、こんにちは。
シリーズブログの第一部「小さな気づきで全てが変わる~Small changes make a big difference」3回目になります。
今回は、パーソナリティ障害者によくみられる「摂食障害」との関係性について考察して参ります。
摂食障害のタイプ
当センターにも、日々多くの摂食障害を主訴として相談にいらっしゃいますが、その背景にパーソナリティ障害を持っている人が半数以上です(本人やご家族は、気づかれていないケースが多いです)。
摂食障害にはいくつかタイプがあるのですが、食べることを拒否する「拒食症」と、食べることに執着する「過食症」の大きく2つに分けて解説していきます。
まず「拒食症」には、強迫性パーソナリティ障害、回避性・依存性パーソナリティ障害との合併が多く見られます。
そして本人だけでなく、親の強迫パーソナリティが発症の危険因子になるとも言われています。
拒食症者には、ある決まった食べ物しか摂取しないという特徴があります。
例えば、サプリメント(栄養補助食品)や健康食品(野菜、海藻、高野豆腐など)しか摂らず、しかも決まった時間、同じパターンで体に食べ物を入れていきます。
周りから見ても明らかに痩せ細って、皮膚の上からでも骨が浮かび上がっているのがわかる状態になっても、痩せることへの幻想を手放すことができないのです。
一方で「過食症」は、母性的な愛情に対する飢餓との関係が深く、境界性パーソナリティ障害や、演技性パーソナリティ障害との合併が比較的多く見られます。
母性的愛情への欲求を、食べるという代理行為で満たそうとするわけで、まさに食べる行為が、母親の乳房を口に含む行為の代理なのだろうということを、重度の過食症の女性たちと接していると実感させられます。
他にも、見捨てられ不安が高まると過食が悪化すること(その多くは夜間)があったり、過食と嘔吐を繰り返す人も多く、嘔吐する際の胃酸の影響で歯が溶けてしまっているケースも珍しくありません。
また、過食行為自体に結構なお金がかかってしまうため、万引きなどで度々警察のお世話になってしまう人もいます。
このように、摂食障害の背景にはパーソナリティ障害が合併していることがとても多いというのが、最近の研究や臨床経験からも言えます。
摂食障害の回復の目安
臨床経験上、たとえ摂食障害を持っていたとしても、回復の途上において、その行為は減ってきます。
摂食障害という行為自体、時間も労力もかなりかかるので、面倒くさくなってくるのでしょうが、この「面倒くさい」という感覚が、一つの目安になってきます。
「面倒くさいけど、やめられない」「終わるとスッキリする」などと言っているうちは、まだまだというわけです。
以前は摂食障害という方法でしか「自分の心の叫び」を表現できなかった方が、ちゃんと言葉を使って表現できるようになることも回復の目安であり、これが可能になってくると、摂食障害という行為の必要性がなくなってくるのです。
また、自分の外見以外に価値を見出していくことができるようになることも、回復基準の目安になります。