皆さん、こんにちは。
今回は、うつ病とパーソナリティ障害のつながり・関係性について、佐藤矢市先生よりご紹介させていただきます。
パーソナリティ障害とうつ病
私の相談室にも、医療機関で「うつ病」と診断された方が相談にやってきますが、その背景には、しっかりとパーソナリティ障害がベースにあるケースが多々あります。
パーソナリティ障害がベースにあると、傷つきやすさや対人関係における過敏性のために、「うつ」になりやすいと言えます。
一番多いのは境界性パーソナリティ障害(ボーダーライン)です。その他、パーソナリティ障害には10タイプありますが、強迫性や回避性などのタイプが多く、2割近くに自己愛性パーソナリティ障害が認められています。
強迫性パーソナリティ障害の場合:
強迫性パーソナリティ障害は、完璧主義で、自分にも厳しいため、とことんまで自分流の義務と責任を全うしようとします(そうしていないと不安で、怖くてしかたがないのです)。
また、慣れ親しんだものへの執着が強く、変化にとても弱いという面もあります。
こういうタイプの人は、自分に対する理想が高く、完璧を求めるため、とても疲れます(頑固になります)。
本人も疲れますが、それに付き合う周りも疲れ果ててしまいます。
常に、完璧を求められているような感覚に襲われ、息をつく間もありません。
だんだん、付き合いが面倒くさくなってくるので、疎遠になってしまうケースが多いようです。
心の中では、常に自分に対する厳しい言葉が飛び交っているので、実際に自分の思うような結果が出なかったりすると、相手を責めますが、内心では自分を責め立てていきます。
その自責感は、自動的に被害妄想・他責へと入り、「負の連鎖状態」になり、これがうつ状態となります。
自己愛性パーソナリティ障害の場合:
自己愛性パーソナリティ障害の「うつ」は、完璧主義や強い理想像が壊れ、自己愛的防衛が崩れることから生じます。
簡単に言うと、「自分は責任を持ってやったのに」と思い込んでいた人が、現実には何もできず、周りから指摘をされたり、ダメ出しをされたりした時に、うつ状態に陥るというパターンです。
つまり、理想の自分を追い求めていた人が、無力で何もできない現実の自分と直面しなければいけない状況になった時に、うつ病が発症するというわけです。
中には、引きこもってしまうパターンもあります。
まとめ
昨今の「うつ」の増加は、この自己愛障害を抱えた人が増えていることと密接に関連していると思われます。
具体的な問題行動として、『自分勝手』『誇大意識』『他者への攻撃』『被害妄想』『配慮への要求』など、日常生活に多大な支障をきたすのです。
自分に対する意識が過剰に働きすぎているということです(大人になるということは、完璧ではない自分でもそれなりにやれるということですが、自己愛障害を抱える人はそれができません)。
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