
「もっと痩せたい」
「私なんてブスだから」
「整形したい」
「写真撮らないで」
娘さんの口から
そんな言葉を聞いたことはありませんか?
最近の相談の中にも、
「娘のマンジャロ使用をやめさせたい」
「顔を整形する話ばかりしている」
「整った容姿なのに自信がない」
「体重計の数字に取りつかれている」
といった相談が増えています。
親から見れば十分容姿の整った娘さんでも、
本人は深刻に苦しんでいることがあります。
その背景には、今の若い世代が置かれた
特殊な環境の影響が考えられます。

「かわいい」が終わらない時代
かつて娘さんの容姿の比較対象は
学校や職場など限られた範囲でした。
しかし今は違います。
スマートフォンを開けば、
その対象は世界中に広がります。
美人インフルエンサー
人気のアイドルやモデル
美容系に特化した配信者
美容整形を繰り返した成功例
完成された体を映したダイエット動画
こうしたものが24時間流れ続けています。
しかもSNSのアルゴリズムのせいで、
「その人が気になっているもの」として
次々と容姿に関する情報を表示します。
一度美容動画を見れば、
また美容動画。
整形動画を見れば、
また整形動画。
痩せたいと思えば、
さらに痩せた人の動画。
つまり、
「もっとかわいくなりたい」
「もっと痩せたい」
という不安が強い人ほど、
その不安を刺激する情報に
ずっと晒され続けてしまうのです。
今の時代、これは本人の意思だけでは
防ぎにくい構造を持っています。

「普通の女の子」が突然評価される時代
さらに恐ろしいのは、今の若い女性は
発信者でなくても評価されることです。
友達が投稿した写真に一緒に写っただけで、
「右の子かわいくない」
「引き立て役?」
「顔の差がすごい」
などと、知らない人から突然
容姿を品評されることがあります。
本人は何も発信していません。
ただそこに映り込んでいた。
それでも評価の対象になります。
昔なら一部の芸能人が経験していたことを、
今は一般人や学生たちが体験しているのです。
これは極めて異常な社会環境と言えます。

醜形恐怖という病気の可能性も
親御さんから見ると、
「周りと比べたら十分細いのに」
と思うことがあります。
しかし娘さんの頭の中では
比較対象が全然違います。
現実の友人たちではありません。
加工されたSNSの世界の住人です。
そのため、
45kgでも太っていると感じる
十分かわいいのに醜いと思う
褒められても信じられない
という状態になっていきます。
やがて、
過度なダイエット
拒食、過食嘔吐
美容整形依存
美容医療依存
などへ進行してしまうこともあります。
親が「気にしすぎ」と言っても
本人の耳にはもう届きません。
本人は本気で苦しんでいるからです。
また、その中には、
他人にはほとんど分からない部分を
異常なほど気にしてしまう人がいます。
これを醜形恐怖症と呼びます。
例えば、
鼻が変だ
顔が歪んでいる
目が小さい
肌が汚い
などの思い込みに強くとらわれ、
何時間も鏡を見たり、
外出できなくなったりします。
本人はわがままなのではありません。
苦しみの大きさは深刻で、
うつ状態や自殺念慮などに
つながることもあります。

摂食障害は命に関わることもある
また、「痩せなければ価値がない」
という思い込みが強くなると、
神経性やせ症
神経性過食症
などの摂食障害へ
発展することがあります。
体重だけの問題ではありません。
栄養不足により、
月経停止
骨粗しょう症
不整脈
肝機能障害
抑うつ状態
自傷行為
などを引き起こす場合があり、
これらは時に、娘さんの命に関わります。
「ダイエット好きなだけ」
で済ませないことが大切です。

親ができることを慎重に、積極的に
娘さんが容姿に苦しんでいる時、
親はつい、
「気にしすぎ」
「十分かわいい」
「もっと自信を持ちなさい」
と言いたくなります。
もちろん悪気はありません。
しかし本人には、
「分かってもらえなかった」
と感じられることがあります。
まず大切なのは、
娘さんを評価することではなく、
娘さんの心を理解することです。
「そんなにつらいんだね」
「毎日比べてしまうんだね」
「苦しかったね」
と気持ちを受け止めることから始まります。
そして、体重や顔、
メイク、成績などではなく、
娘さん自身の存在や
努力を認め続けることも重要です。

以下のような状態が続く場合は
専門機関への相談も検討してください。
- 食事量が極端に減った
- 急激な体重減少がある
- 外出を避けるようになった
- 鏡を何時間も見ている
- 整形への執着が強い
- 自傷行為がある
- 「消えたい」「死にたい」と言う
精神科や心療内科、
摂食障害外来、
カウンセリングなどが
その支援の選択肢になります。
そして背景には、
自己肯定感の低さ
親子関係の傷つき
学校での孤立
いじめ
発達特性
パーソナリティの問題などが
隠れていることも少なくありません。
JECセンターへ寄せられる相談の中にも、
摂食障害、自傷行為
美容整形への執着
ホスト依存、風俗勤務
SNS依存などの問題で
悩んでいるという話が耳に入ります。
しかし話を聞いていくと、
本当に苦しんでいるのは顔ではなく、
「自分には価値がない」
という感覚だった
というケースが少なくありません。
容姿へのこだわりは、
心の苦しさの表れである場合があります。
だからこそ、
表面的な行動だけを見るのではなく、
娘さんが何に苦しみ、
何を求めているのかを
親や周囲が理解することが大切です。
もし今、
「娘が容姿のことばかり気にしている」
「ダイエットが止まらない」
「美容整形の話ばかりする」
「SNSに振り回されている」
と感じているなら、
それは単なる思春期ではなく、
心からのSOSかもしれません。
早い段階で相談することが、
大きな一歩になるはずです。

*JECセンターは、20年以上に及ぶパーソナリティ障害の臨床研究と回復の実績を持つ
元臨床心理士(現:施設顧問)佐藤矢市が考案した“心理休養”に基づいたサポートを提供しています。


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