心の悩みや不調が続くときは、専門機関の利用を一度考えてみてはかがでしょう。

全国には、いろんな専門機関が存在しており、その特徴や機能は異なります。そこで今回は、地域にある専門機関をいくつか挙げながら、その特徴や機能についてご紹介します。

専門機関のいろいろ

◆メンタルクリニック(精神科クリニック)

クリニックとは「診療所」の意味であり、入院用のベッド(病床)をもたない医療機関のことです(中には19以下の病床数をもっている機関もあるようですが)。

通常のメンタルクリニックでは、精神科治療や医療を受けることができ、薬物治療(漢方治療を含む)はもちろん、各種検査(医学検査、心理検査)やリハビリテーションなどを行っている場所もあります。

メンタルクリニックの利点は、その数が多い点であり、場所も通いやすい立地(駅前や街中)にあることが多いことです。つまり、「予約が取りやすい」「夜間や土曜日もみてくれる(場所が多い)」といった利点があります。

また、最近のメンタルクリニックでは、医師だけでなく、心の悩みの相談に乗ってくれる「心理カウンセラー」(臨床心理士ほか)や、日常の生活支援(福祉サービス)の相談に応じてくれる「ソーシャルワーカー」(精神保健福祉士ほか)なども配置しているところが多く、複合的な治療やサポートが受けられるのもその特徴です。

そうした意味でも、かかりつけ医としてメンタルクリニックは利用できます。

◆精神科病院

精神科病院とは、入院用のベッド(病床)を20以上もつ医療機関のことです。

特徴としては、メンタルクリニックにおける医療や検査等はもちろん、より重篤な症状にも対応してくれる点が大きなメリットです(メンタルクリニックと連携を図る精神科病院も多くあります)。

さらに、精神科病院では、医療チーム(複数の専門職)による治療・ケアが受けられるのも特徴であり、入院から退院までの一連の回復プロセスを集中的、継続的にみてくれます(退院後の通院プランやデイケア、就労移行などを支援してくれる精神科病院も増えています)。

先のメンタルクリニックと比べると、予約の取りづらさはありますが、メンタルクリニックの利用から始めれば、「紹介状」(診療情報提供書など)を通して、精神科病院への転院をよりスムーズに行えます。

◆私設開業の心理相談室

私設開業の心理相談室(「私設相談室」と省略します)は、臨床心理士や公認心理師(国家資格:2019年誕生)、或は、カウンセラー・セラピストとして名乗る有資格者が、個人的に開業する民間の相談機関です。

私設談室では、一般人に向けた心理カウンセリングはもちろん、より複雑な悩みを抱える方への心理療法や心理検査なども行われており、「心のケア」に焦点化したサポートが受けられます(心理療法としては、精神分析療法、スキーマ療法、認知行動療法、対人関係療法、来談者中心療法、家族療法、アクセプタンス&コミットメント療法、マインドフルネスを用いた心理療法などがあります)。

私設相談室の利点は、「じっくり聴いてもらえる」「個別の対応をしてもらえる」などであり、構造化された集団療法や心理教育(やる事が決められている援助場面)などに「馴染みづらい…」の感想がある方でも、積極的なケアが受けられる資源だと言えます。

特に、パーソナリティ障害の心理支援では、より個人的な悩みや問題を扱う場面も多くなるため(成育歴、家庭環境の問題など)、自分の悩みを「一様に扱って欲しくない」「人前(集団)では言いづらい」とのニーズに対して、私設相談室は力を存分に発揮できると考えられます。

但し、利用にはいくつかの注意点もあり、例えば「利用費はすべて自費であること」「カウンセラーによって得意とする領域、療法が異なること」などがあります。詳細は、直接その機関に問い合わせてみる必要があります。

その他にも、以下のような専門機関があります。

◆保健センター

保健センター(保健所)では、身体の悩みだけでなく、心の悩みや育児(出産)の悩み、さらには、生活全般の相談にも乗ってくれる専門機関です(ご家族の利用も可能です)。

特に、心の悩みでは、専門機関(精神科病院など)に「かかろうかどうかを迷っていること」も相談できるので、気軽に利用できる機関としてその特徴があります(「保健所ってどんなところ?」全国保健所長会WEBサイトはこちら)。

◆精神保健福祉センター

精神保健福祉センターでは、「心の悩み・健康」についての相談に専門的に応じてくれる公的機関です(各都道府県に必ず1つはあり「こころの健康センター」と呼ばれる場合もあります)。

心の専門家たちが集まる場所であり(精神科医や心理士、ソーシャルワーカー、保健師、看護師、作業療法士など)、精神(心)や保健福祉に関する専門的な相談ができるほか、精神科医療の相談やアルコール・薬物などの相談、さらには、診察機能(病状の判断)やデイケア、各種セミナーなどを実施してくれる場所もあります。

◆NPO法人

全国にはいくつものNPO法人がありますが、「死にたい、生きたい」の狭間で揺れ動く方に、相談ニーズにあった専門機関の情報を紹介してくれるWEBサイトがあります(「いのちと暮らしの相談ナビ」NPO法人自殺対策支援センターライフリンク運営)。自分のニーズにあった専門機関を「地域別」「悩み別」ほかで絞り込んでくれるので、専門機関を探す上での参考情報となります。

◆夜間休日の精神科救急医療の窓口

夜間や休日に精神科医療を受けられる機関の情報は、こちらの窓口(厚労省のホームページより)を参考にしてください。ここでは、全国に在る『精神科救急医療の機関情報』が一覧として紹介されています。

このように、全国には専門機関がいくつも存在しており、またそれぞれの特徴や機能も異なっています。あらかじめそうした情報を把握しておけば、それを必要とする時に大きく役立つでしょう。

 

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