皆さん、こんにちは。

「人が怖い・・・」という訴えは、パーソナリティ障害者を始め、様々な精神疾患に起こり得る症状の一つです。

これが強くなりすぎると、周囲と関わることから身を引き、引きこもってしまう方もいれば、人から攻撃される前に、自分から先制攻撃を仕掛けてしまう方もいます。

人が怖いので、自分を守るために、何かしらの策を取ろうと努力するわけです。
最近では、若年層でも対人恐怖がある方がとても増えてきている様に思います。

では、対人恐怖者とはどんな人なのでしょうか?
佐藤矢市先生より対人恐怖症についてご紹介させていただきます。

対人恐怖の特徴

パーソナリティ障害支援センターでの、多くの事例から見てみましょう。
少し難しい表現ですが、対人恐怖者とは他者に承認されることを切望しながら、そこで生じる『他者からの侵入』、『見知られる不安』におびえている人と言えるでしょう。

簡単に言えば、周りから「頑張っているね、すごいね」と認められることを望んでいる一方で、他人が自分の領域に入ってくることを嫌がり、見透かされることを極度に恐れている人たちです。

人と親密になるには、自分が他人の領域に入り込み、他人も自分の領域に入り込んでくることを許す必要があります。

そういった「相互侵入」という危険を犯してようやく成立するものですが、対人恐怖者は、異常にプライドが高かったりするので、それを周囲に見破られることを恐れています。

こういった意味では、対人恐怖者とは、「自己否定的で厳しい人」のことであり、「他者との間に親密な関係を築く能力の乏しい人」と言い換えることもできます。

『境界性パーソナリティ障害』『自己愛性パーソナリティ障害』『強迫性パーソナリティ障害』『回避性パーソナリティ障害』『依存性パーソナリティ障害』『妄想性パーソナリティ障害』などの症状が見られます。

TAIJINKYOUFU ~世界的な症状~

対人恐怖という言葉は、日本だけでなく米国でも「TAIJINKYOUFU」というそのままの言葉で使用されています。

そのくらい、他国にも対人恐怖者はいて、世界的な症状であることが言えます。

TAIJINKYOUFU」という言葉が使われるくらいなので、日本ではこの病気に接する機会が多い精神科医がいたことは事実であり、また膨大な資料の蓄積があると言われています。

私たちにとっての「真の欲望」とは、自分以外のもう一人の人から「承認」してもらうことです(対人恐怖者が切望してやまないものです)

「そのままのあなたでいい」というのが承認ですが、他者からの承認ばかり求めるわがままがついてしまうと、相手や周囲は奴隷のようになってしまいます。

奴隷に承認されても仕方がないので、自分の方でも相手を承認しなければいけません。

そうなると自分の方の都合ばかりも言っていられません。
相手に承認されるように、自分の方も努力して相手に近づいていかなくてはいけなくなると、他人が自分に侵入してくる不安に耐えなければなりません。

親密な関係を築く能力の乏しい人

こうして、私たちは「承認して!」という自己主張と、自分を承認してくれる他者に価値を見出す「他者承認」とのバランスをとって毎日を暮らしています。

このバランスを欠いてしまった状態、つまり、親密な関係を築く能力の乏しい人こそが、「対人恐怖者」というわけです。

本当は、「自分が怖い」を隠して行動しているのですが、『摂食障害』、『うつ症状』として問題となっています。

この対人恐怖者が回復していくためには、まず、上記に説明したように相互に承認し合うバランスというものがあり得ることを知り、実際に体験する必要があります。

親密性という感覚を同じ環境に置かれた者同士で、しかも「安全な場」で育て続けていくことです。

一番効果的な方法は、同じ対人恐怖を抱える者同士で、少しずつ親密性を築いていくことなのです。

ぜひ、パーソナリティ障害支援センターの、「自由で、安心できる環境」の中で、本来持っているバランスを取り戻してみてはいかがでしょうか。