皆さん、こんにちは。

シリーズブログの第一部「小さな気づきで全てが変わる~Small changes make a big difference」8回目になります。

今回は、当センターの卒業生である、入所当時20代前半だった女性からいただいたメッセージをご紹介したいと思います。

当時の彼女(卒業生)のご紹介

彼女は、ここにたどり着くまでに、数々の閉鎖病棟への強制入院を経験し、「統合失調症」と診断されていました。

パーソナリティ障害のタイプで見れば、「境界性パーソナリティ障害」「強迫性パーソナリティ障害」を併せ持っていました。

彼女は、人に対する恐怖心が強いために、周囲からの言葉を自分への攻撃と捉えてしまう傾向があり、継続して安定した人間関係を築いていくことができずにいました。

本当は自分の存在を周囲に認めてほしいと願っていますが、他人が自分の領域に入ってくることを激しく拒んでしまうのです。

そうしては「寂しい・・」と訴え、自傷行為や過食嘔吐といった衝動的な行動を繰り返していました。

特に、「周囲の人達が自分の悪口を言っている」と強く訴え、時には激しく周囲を攻撃してしまうことすらありました。

そんな彼女でしたが、約一年間という当センターでの生活を通して、衝動性は確実に軽減され、対人恐怖的な一面も、以前ほど強いものではなくなり、何よりも心の中に「安心」と「信頼」といった、以前はほとんど感じることのなかったであろう感覚を抱けるまで回復なされました。

そんな彼女が、卒業後久しぶりに当センターを訪れ、交わした会話の一部を、本人の了承のもと、ご紹介して参ります。

卒業生からのことば

※以下、先生(佐藤 矢市先生)とOG(卒業生)との会話内容になります。

 

先生「センター生活で感じていたことは何ですか?自分と向き合うことで何を学習されましたか?」

OG良い所も悪い所も、まるごと全部受け入れるようになったこと。ダメな自分でも“まぁ、いいか!”と思えるようになったこと。昔は弱い自分や、人より劣っている自分を絶対に認めたくなかったし、周囲にそのことを見抜かれるようでいつもビクビクしていた。それと、自分の限界を知ったことで、無理なく、自然に生きられるようになった。自分の限界を知ることは、とてつもなく勇気が必要だったけど、他のみんなも、自分の限界の中でそれなりに生きていることに気がついた。昔の自分は、何よりも完璧な自分になろうと必死だったと思う。」

先生「センターの仲間たちから得られたことは何かありますか?」

OG色々な価値観と考え方があることを知った。そして、それを否定したり、支配したりすることなく、“そういうもの”を受け入れ、共存していくことを学んだと思う。苦しかった時は、自分だけが辛く苦しい人生を歩んでいると思い込んでいたが、実はそうではなかったことに気がついた。センター仲間たちと少しずつ語り合うことができるようになってきて、“仲間”という意識を初めて感じることができた。同じ苦しさを経験した人たちだからこそ、共感できるところがあったし、センターの仲間なしでは、私は成長できなかったと思う。」

先生「親との関係を、今はどう思いますか?」

OG親も限界のある一人の人間であって、完璧ではないことを知った。そう思えると、母親への強い憤りが少なくなった。強制入院を繰り返していた当初は、母親との関係が近すぎたように思う。だから、“自分の苦しさを理解してほしい!これくらい分かれよ!”という期待も強かった。でも、今は精神的にいい距離感で付き合えていると思う。あんまり親に認めてもらおうと思わなくなりましたね(笑)。」

 

以上が会話内容の一部抜粋になります。

これをご覧になられたみなさんはどのような感想をお持ちになりましたでしょうか。

彼女は現在、看護師として立派に社会復帰を果たし、次なる目標である彼氏作りに向けて熱意を燃やし、継続した恋愛関係を築きたいと笑顔で語っていました。

彼女も「もう大丈夫!」ですね。