皆さん、こんにちは。

シリーズブログの第一部「小さな気づきで全てが変わる~Small changes make
a big difference」27回目になります。

前回の記事で母親と子どものケースの共依存について簡単な概要を説明しましたが、今回は共依存者の特徴についてさらに掘り下げて解説して参ります。

自他の区別が曖昧

共依存者は、他人の感情と自分の感情をはっきりと区別することができないという問題を抱えています。

相手が沈黙したり、不機嫌そうな表情をすると、「自分が何か相手にとって不本意なことをしたのではないか?」「そもそも自分に欠陥があるのではないか?」といった漠然とした不安に襲われます。

他人が感じる感情を、自分の感情と切り離して考えられないために、例えば自分の愛する人が少しでも自分以外の人に魅かれるとき、彼らはそれを受け入れることが絶対的にできません。

愛する人が自分以外の人に少しでも興味を持とうものなら、もう自分の事は大事にしてもらえないかのように感じてしまいます。

他人には他人の独立した気持ちがあるとは思えず、常に自分と同じ考えであると切望しています。

このことが共依存者の他者への支配欲を強めてしまう原因でもあります(ゆえに共依存者は束縛や嫉妬心がとても強いのです)。

他人の世話焼きを大切にするという生き方は、実はこうした「自他の区別の曖昧さ」から生じています。

家庭内暴力を繰り返す息子

良く見るケースとしては、自宅で引きこもり、家庭内暴力を繰り返している息子(成人)に対して、「こんなに苦しんでいる息子を見ていると、なんだか自分も苦しくなる。息子は社会にもはじき出され、本当にかわいそうな子だ」と、母親が訴えます。

かわいそうかどうかは、もう成人している息子自身が決めることですが、母親が勝手に決めつけてしまっています。

自分の気持ちと息子の気持ちが一緒くたになっている証拠です。

こうなってしまうと、母親の勝手な思い込みがどんどん働き、「この子は私がいなくなったら生きていけない」「私が一生守らなければ!」といった具合に暴走していってしまいます。

実際のところ、息子さんが自立へ動き始める要因には、「母親と物理的に離れる」「母親がいなくなる」という状況になった時、初めて「自分でなんとかしなくてはいけない」と思い始めるのです。

こういう息子の場合は、母親から決めつけられた一方的な「かわいそうな子」というイメージを演じていることが多く、なかなか抜け出せません。

そして、結果的に母親から離れられないように仕向けられ、息子は支配され、あまつさえペット化していってしまいます。

そんな支配から逃れようと、母親に対して激しい暴力を振るうことで必死に抵抗するという図式になっていくのです。

親密な人間関係とは?

この共依存関係とは真逆に位置する「親密な関係」とは、不安と支配欲に束縛されない人間関係のことを言います。

それは流動的な関係で、共依存のようにいったん形成された関係が変化なくそのまま続くといったものではありません。

共依存の根底には自尊心の低さがありますが、親密性の根底には自己肯定の感覚があります。

こうした人は親密な関係を求めても相手に退屈すれば離れるし、離れた相手を恨むこともしません。

自他の区別もしっかりしているので、「自分は自分」という自己肯定があり、この自己肯定こそが「生き生きした感情生活」を与えてくれるのです。