メン地下オタクの娘の様子がおかしい

メン地下とは、地上の有名アイドルとは異なり、地下でアイドル活動を行うマイナーな男性グループを指します。

 

そんな彼らを応援する若い女性ファン層も一定数存在し、メン地下オタクなどと呼ばれています。

彼女たちはメン地下アイドルのライブ会場へ熱心に通いつめ、チケット購入やグッズ購入、チェキ撮影などにお金をつぎ込み、彼らを応援する、いわゆる“推し活”を行っています。

 

中には、年齢にそぐわないような金額(数十万円~数百万円)をつぎ込んでいる娘さんもいるというから驚きです。

 

いったい彼女たちは、どこからそのような大金を捻出しているのでしょうか?

 

今回は、そんなメン地下オタク娘を持つ母親から寄せられた「娘の異変」についての相談をご紹介します。

 

家族への影響と母親の苦悩

推し活と総称される趣味活動は、現代では特に珍しいものではなくなりました。

 

メンズ地下アイドルもその一つとして、その知名度を伸ばしつつあるコンテンツです。

JECセンターへ相談のあった母親からも「最初は娘の趣味を問題とは思っておらず、干渉するつもりもなかった」という話を伺っています。

 

ところが、大学生の娘さんの単位が危ういという状況を知った母親は、学業への影響を心配し、娘に何をしているのかと尋ねました。

 

すると、娘は趣味でメンズ地下アイドルに通っていることを明かしたのでした。

 

話はそれだけにとどまらず、余分な生活費を渡していなかった母親は「そのお金がどこから出ているのか?」という疑問に引っ掛かりました。

 

娘は「アルバイトをしている」というものの、どんなアルバイトをしているかははっきりと答えなかったのです。

 

その後、娘の友人づてに、娘がパパ活をしているという情報を掴んだ母親は、居てもたってもいられずに娘を再び問い詰めました。

 

結果、激しく口論になり、娘とはそれきり音信不通になってしまいました

 

母親としては「どう声をかけたらよかったのか」と反省し、結局は見守るしかないと感じてしまったのです。

 

こうした状況に陥ってしまった場合、家庭内で解決するには限界があるため、専門機関への相談が推奨されます。

 

母の心配が功を奏した

母親は娘を見守ることを決断したものの、何もできないことに悩み続けていました。

 

その後も、娘をどうにか助けることはできないかという思いから方々調べ尽くし、いくつかの相談窓口にも問い合わせてみたそうです。

 

そして、自分たちと同じようなケースのサポートをしているというJECセンターにも問い合わせたのでした。

JECセンターは母親の問い合わせに対し、具体的な提案を持ち掛けました。

 

「思い切って学校を休学扱いにして、娘さんを施設に預けてみてはどうでしょうか?」

 

この提案に最初は少し考え込んだ母親でしたが、他に手段も思いつかず、提案を飲み込むことにしました。

 

その後の本人の説得には困難したものの、家族総出でなんとか了承を得て、短期間の入所生活がスタートしたのでした。

 

「なぜパパ活までしてアイドルに依存するのか」

 

「心のどこに不足感があるのか」

 

娘さんに寄り添った心理サポートと同時に、母親含む家族に対する相談と情報共有が始まりました。

娘さんのメンズ地下アイドル通いやパパ活は、時間が経てば依存は深まり、本当に取り返しのつかない所まで悪化する危険性がありました。

 

しかし、母親の娘を想う心が相談へと行動を促し、専門的なケアへとつながることができました。

 

すぐに娘さんが健康な心を取り戻すということは難しいですが、時間をかけて向き合い続け、少しずつ気づいて立ち直っていくしかありません。

 

そのためのきっかけを作ってくれた母親の行動が、今後娘さんの人生にどれだけ良い影響を与えてくれることか。

 

「もっと早く相談すればよかった」と反省する母親に対し、私どもはただその決断を称賛するばかりです。

 

お母さんのこれまでの心配と苦労は、結果的に娘さんを救う道へとつながっていました。

 

同じ悩みを持つご家族がいらっしゃいましたら、どうか抱え込まずにJECセンターまでご相談ください。

 

 

 

*本コラムは、20年以上に及ぶパーソナリティ障害の回復実績を持つ

元臨床心理士(現:施設顧問)佐藤矢市が考案した”心理休養”に基づいています。