皆さん、こんにちは。
シリーズブログの第一部「小さな気づきで全てが変わる~Small changes make a big difference」6回目になります。
昨今では、パソコンやスマートフォンなどの端末を利用して、インターネットから簡単に調べものができる時代となりました。
そこで今回は、自分で情報を集め、パーソナリティ障害の自己判断をすることの是非についてご説明して参ります。
「知ること」は問題の長期化を防ぐ
「パーソナリティ障害」という言葉は、以前に比べると圧倒的にその認知度は上がってきているように感じます。
そして、それに比例するように、パーソナリティ障害という言葉に対して抱かれがちであるマイナスなイメージ像も変化してきているように感じます。
当センターへの問い合わせの際に、「自分はパーソナリティ障害者ではないのか?」「夫(または妻)が自己愛性パーソナリティ障害にあてはまっているように思う。」「わが子はおそらく境界性パーソナリティ障害だろう。」というように、実際、自分たちで調べて来られる方が増えてきています。
様々な書籍やインターネット上には、パーソナリティ障害に関する情報が溢れていて、その中にはもちろん、「自己診断チェックリスト」なるものも出回っています。
これらの情報をもとに、自分でパーソナリティ障害の可能性を判断してもいいものなのかどうかについて、度々ご質問を受けることもあります。
すべてが正しい情報とは限りませんが、自分なりに(あるいは家族なりに)、パーソナリティ障害の傾向を知っておかれることは、むしろ問題を長期化させないためにも必要な情報であると思います。
例えば、安定した関係をいつも望んでいるのに、長く関係が続けられずに苦しんでいた方が、自分の中にあるパーソナリティ障害の特性を知ることでラクになったという報告もあります。
そういった意味では、自分自身の対人関係を見つめ直すための良い機会になるのであれば、パーソナリティ障害の可能性を考え、診断なり、情報を集めるなりして理解を深めるという行為は有効だと思います。
もう少し掘り下げるなら、「自分の対人関係がなぜいつも揺らいでしまうのか?」「それは特殊なことで、心の病気なのか?」などと考え、パーソナリティ障害的側面をそこから取り除くことによって、対人行動傾向をこれまでとは違ったものにしていければ、実りの多い人生が開かれると言ってもよいでしょう。
同時に、不安定な関係に費やされる無駄なエネルギーが節約されて、もともと持っているはずの創造性が発揮されてくるはずです。
もし、こういったことが自分自身でできない場合は、パーソナリティ障害を専門とする病院や施設の力を借りることが望ましいでしょう。
自分自身の落とし穴(クセ)に気づける
パーソナリティ障害者が感情を調節できるようになったり、それなりに現実社会に適応できていけるようになってくると、自分の心の中にある「落とし穴(クセ)」がどんな所にあって、どれくらいの大きさで、どういった時に落ちやすくなってしまうのかということを自覚できるようになってきます。
パーソナリティ障害者の心の中にある落とし穴というのは、決して埋まることはありませんが、その大きさを小さくすることは可能です。
自分の心の中の落とし穴を工夫して小さくしたり、ぴょんと飛び越えて避けられる技術が身に付くことが、回復の目安の一つであると考えられます。
そのためにも、パーソナリティ障害的側面を自覚することは最初の一歩になることでしょう。