子どもから暴力(家庭内暴力)を受けた親は、時として命の危険を感じさせられるような場面があります。
そうした時、やむを得ず警察に助けを求めることもあるかと思います。
なぜなら、成長した子どもの力は人に怪我を負わせたり生命を脅かすことが十分できてしまうためです。
決して望んでわが子を警察に通報(逮捕)することはないと思います。
通報するということは、きっと苦渋の決断だったはずです。
今回は、“家庭内暴力でわが子が警察に逮捕された時”、当事者である親にできることや、その選択肢についてご紹介いたします。
目次
4.時間をかけて |
1.わが子を通報した後
子どもからの暴力にさらされ、親が警察へ通報する羽目になってしまうということは珍しくありません。
問題なのは「その後どうしてあげればよいのか…」ということで、大半の親が悩んでいるということです。
「あんな目に遭ってしまった後では、さすがにわが子を家に迎え入れることもできない…」
もしもこのように思われているのなら、どうかご自分を責めないであげてください。
親ができることには限界があります。
なぜなら親は家庭内暴力の専門家ではないからです。
ただ、逮捕されたとはいえ子どもは早くとも数日から一週間程度で釈放されてしまいますので、その後の受け入れ先については早急に答えを出す必要があります。
どうしていいかわからず悩んでいる間にも、期限は迫ってきてしまいます。
「家に戻れば必ず同じことを繰り返すのは目に見えているのに…」
本心では家に迎え入れてあげたくても、危険な目には遭いたくない。
そんな時のために“家庭内暴力の子どもを受け入れる施設”があります。
2.心強い協力者の紹介
私たちの施設「パーソナリティ障害宿泊心理センター」のように、家庭内暴力や引きこもりを代表とした親と子の問題を取り扱っている施設は、日本国内において数えるほどしかありません。
私たちも長年パーソナリティ障害の心理ケアを専門分野としながら、たくさんの親子のサポートを行ってきましたが、希望する施設を見つけ、入所まで簡単にたどり着けた方はほとんどいませんでした。
特に親が警察に通報をされた場合は、その後の支援先(受け入れ先)として行政を紹介されることが多く、私たちのような民間の施設へとつながることは稀です。
そうした中、日本の元警察官である赤座氏が運営する自立支援事業「こころのがっこう」と私たちによる共同支援が実現できたことにはとても大きな意味があります。
私たちは赤座氏のことをインターネットで知り、その理念に共感してすぐ連絡を入れ、志を共にする身として協力体制をお願いしたところ、快く引き受けていただけたのでした。
子どもの家庭内暴力や引きこもりを専門に扱ってきた「こころのがっこう」では、赤座氏独自のネットワークを活用して逮捕に至った家庭内暴力の親子とつながることができます。
おかげで、今まで私たちの力だけではつながれなかったより多くの親子に対して支援の間口を広げられたことにはとても感謝しています。
では、実際にどういった流れで支援へ辿り着けるのかについてご説明していきたいと思います。
まず、子どもが逮捕された後、警察の方から親へ「この後どうしたらよいか?」についての説明があります。
具体的には、公的機関を利用した“保護観察(更生施設など)”や“精神科入院”の紹介があり、私たちのような民間の“自立支援施設(保護施設)”についての紹介があります。
“子どもを家に置いておけない状況”にある親たちは、お互いが今後安心して生活するための手段を求めています。
その一つの選択肢として、根本原因のケア(心のケア)ができるというメリットのある「こころのがっこう」及び「パーソナリティ障害宿泊心理センター」による共同支援をご選択なさるのです。
3.支援を受けるには?
子どもが逮捕された場合、勾留期間を終えた後のことについて警察の方から必ず相談を持ち掛けられます。
「子どもを家に戻せますか?」
「更生施設か精神科病院へ送りますか?」
「民間の保護施設へ預けますか?」
その選択肢の中に、先にご紹介した「こころのがっこう」と「パーソナリティ障害宿泊心理センター」の共同支援があります。
私たちの共同支援を選択なさることで、説得の難しい本人(子ども)と話し合って施設への入所を納得してもらったり、親と子の身の安全を確保できるといったメリットがあります。
支援を受けるにあたっては、まず親に①「こころのがっこう」へ直接電話で問い合わせていただきます。
「わが子からの家庭内暴力に耐えられず、家には置いておけないんです…」
②苦しい現状についてご相談していただいた後は、③どういった支援が必要かについて慎重に検討していきます。
その後、④日取りを決めて代表である赤座氏と面会し、⑤具体的な支援方法についての説明がなされます。
次に、受け入れ施設となる「パーソナリティ障害宿泊心理センター」について知っていただくために⑥利用前に見学や説明会のために来所していただきます。
そして、来たる勾留期間を終えた子どもに対し、赤座氏から本人(子ども)に対して経緯説明(説得)があり、本人の了承を得た上で速やかに入所が行われます。
こうして、私たちのもとで自立に向けた心のケアを受けながらの入所生活がスタートいたします。
4.時間をかけて
私たちのような子どもの自立支援の専門家は、基本的に親からの依頼によって動き出し、入所の準備を進めていきます。
その準備段階において最大の難関となるのが“本人(子ども)の説得”です。
本人のほとんどが「自分に非は無く、悪いのは親の方である」と思い込んでいることが多く、その説得には困難を極めます。
世間で言われている所の引き出し屋のように本人の意思を無視して連れていくことはできないため、その道のプロである赤座氏や私たち、そして親にも参加していただいて全力で説得にあたるようにしています。
全ては親子がこれから歩んでいく人生のため、子どもの自立を促し、親子関係の改善を進めていくための第一歩として。
そして、無事説得に成功して入所生活が始まった後にも、まだまだやるべきことはたくさんあります。
赤座氏と私たちは、家族支援として長年たくさんの親子をサポートしてきた実績と経験から、ある一つの結論へとたどり着いています。
それは、“根本原因が解消されるまでには相応の時間がかかる”ということです。
例えば、家庭内暴力(または長期引きこもり)の原因には、ほとんどの場合“パーソナリティ障害のような心の病気の影響”が考えられます。
再発の防止や社会自立といった明確な成果を希望されるのであれば、根深い原因を時間をかけてしっかりとケアしていかなければなりません。
そうした旨は事前に親子に対して必ず説明しているものの、焦りや経済的な理由などから支援の中断を希望される方もいらっしゃいます。
様々なご事情からやむを得ない場合もございますが、“支援を中断してしまうとまた振り出しに戻ってしまう”ということを、どうか心に留めておいてください。
心に根付いた原因は、積み重ねてきた時間と同じくらいケアしていくにも時間が要ります。
親と子が希望される未来の実現までには相応の時間がかかってしまうということを、どうかご理解いただければと思います。
その上で、赤座氏と私たちの提供する共同支援の利用を検討していただければ幸いです。
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