「もう大人なんだから」
「自分の部屋くらい片付けてほしい」
そう思うのはおかしなことではありません。
ところが、何度注意しても、
娘さんの部屋は散らかったまま。
脱いだ服は床に置かれ、
飲み終わったペットボトルもそのまま。
ゴミを捨てるように言っても、
その場では「わかった」と答える。
それなのに数日たつと元通り。
母親からすれば、
「どうしてできないの?」
という疑問が残ります。
しかも娘さんは成人しています。
仕事も続けられているのに、
友人とも普通に付き合っているのに、
自分の生活を管理することだけが
極端に苦手な娘。
こうした状態を、単に「性格の問題」
と考えてしまう親は少なくありません。
しかし、その背景に
発達特性が関係しているケースもあります。

言われてもできない娘は怠慢か?
例えば、ある家庭を考えてみます。
娘さんは30代。
仕事は何とか続けていますが、
自宅の部屋は散らかり放題。
ゴミ屋敷一歩手前。
母親が部屋を見るたびに、
「いくらなんでも散らかりすぎ!」
と注意します。
娘さんは、
「あとでやるから」
と答えます。
ところがその「あとで」が来ません。
母親は何度も注意します。
「もう子どもじゃないんだから…」
「自分のことくらい自分でやってよ」
娘さんも言われたことは理解しています。
部屋がきれいなほうがいいことも
ちゃんと分かっています。
そして本人も、
「私も片付けたい」と思っています。
それでもなかなか行動に移せません。
母親にはそれが理解できませんでした。
「やればいいだけなのに」
「なぜやらないの?」
そう考えていたからです。
ところが、発達特性という視点から見ると、
少し違った景色が見えてくることがあります。
片付けには、
「何から始めるかを決める」
「物を分類する」
「不要なものを判断する」
「一つずつ作業する」
「途中で別のことに気を取られない」
「最後まで終わらせる」
といったいくつもの力が必要です。
そのため、本人にとっては、
「片付ける」という一言が、
親が考えている以上に難しい作業に
なってしまっている場合があります。
だからといって、
「発達特性だから仕方がない」
という話ではありません。
重要なのは、
なぜ本人ができないのかを理解しないまま、
「だらしない」
「やる気がない」
と評価してしまわないことです。

娘さんだけを追い込まないで
この問題が長く続くと、
困るのは娘さんだけではありません。
親も少しずつ疲れていきます。
最初は、
「片付けなさい」
という注意だけだったものが、
「いつになったらやるの?」
「何回言えば分かるの?」
「私が全部やらないといけないの?」
と、言葉が強くなっていきます。
娘さんも反発します。
「うるさい」
「分かってるって」
「私の部屋なんだから放っておいて」
親子の会話は、
いつしか片付けの話ばかりになります。
そして母親は、
「もう何を言っても無駄」
と感じるようになります。
一方の娘さんも、
「どうせ私は何もできない」
「だらしないと思われてる」
と感じるようになることがあります。
ここまでくると、
問題はもう「部屋が汚い」
という話だけではありません。
娘さんの生活管理の問題と、
親子関係の問題が結びついているのです。
だからこそ、娘さん本人だけに
「片付けられるようになりなさい」
と求めても問題は解決しません。
家族の中で長年繰り返されてきた
やり取りそのものにも、
目を向ける必要があります。

「家族ごと」立て直す必要がある
JECセンターでは、
問題行動を抱える本人だけを
支援すればよいとは考えていません。
なぜなら本人が変わっていくためには、
本人を取り巻く環境や
家族との関係も重要だからです。
特に、成人した娘さんの場合、
親が何とかしてあげるだけでは
自立につながらないことがあります。
反対に、
「大人なんだから自分でやりなさい」
と突き放すだけでも、
うまくいかない場合があります。
必要なのは、
「どこまで本人に任せるのか」
「親はどこまで手を出すのか」
「できないことにどう関わるのか」
を家族も一緒に考え、
関係そのものを変えていくことです。
そして、これは
本人だけの問題ではありません。
長い間、娘さんの問題行動に
対応してきた親御さん自身も、
疲れ切っていることがあります。
何度言っても変わらない。
助けても感謝されない。
注意すると怒られる。
放っておくと自分が後始末をする。
そんな状態を繰り返しているうちに、
親自身がどう接すればよいのか
分からなくなってしまうのです。
JECセンターが大切にしているのは、
こうした家族側の状態も含めて
立て直していくことです。
そこに大きな特徴があります。
一般的に、本人への支援を中心とし、
家族そのものへの継続的な介入には
限界がある支援機関も少なくありません。
そんな中、JECセンターは
家族にも介入することができます。
娘さん自身が自分の生活を少しずつ
自分で管理できるようになること。
そして親御さんが適切な距離を取りながら
娘さんの自立を支えられるようになること。
その両方が、「立て直す」ということです。
背景に発達特性が関係しているのであれば、
「なぜできないのか」という視点で考え、
その問題によって
家族がどれほど疲れているのか考え、
本人の回復と家族の立て直しを図ります。
JECセンターは、
この二つを切り離して考えません。
なぜなら本人が変わっていくためにも、
家族が変わっていくことが重要だからです。

*JECセンターは、20年以上に及ぶパーソナリティ障害の臨床研究と回復の実績を持つ
元臨床心理士(現:施設顧問)佐藤矢市が考案した“心理休養”に基づいたサポートを提供しています。


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