皆さん、こんにちは。

佐藤矢市先生の「パーソナリティ障害の回復には決断と見守る連携が必要」シリーズ第11回目となります。

今回は、「家庭内暴力」に悩み、疲れ果ててしまっているご家族の親としてどのような「意識」が必要なのかについて考えて参ります。

限界を認めることは諦めではない ~専門家に頼る道~

長い間、子どもの家庭内暴力に悩まされてきたご家族が、自力で問題を解決していったという事例は驚くほど少ないというのが現実です。

こういったご家族はとても勉強熱心で、「暴力とどう向き合えばよいか」などのハウツー情報もたくさん持っていたりします。

数多く学習し、努力なさっている証拠ですね。

しかし、頭の中で理解できていても、実際に暴れている子どもの前に立つと、まさに「奴隷」のようになってしまい、その一歩がどうしても踏み出せないでいるのです。

実はこの時、親は子どもの改善を期待するのではなく、自分たちの「意識」に目を向けることが重要です。

まず、自分たち(保護者または家族)だけの力では、家庭内暴力という問題を解決することには「限界がある」ことを悟り、子どもにそのことを正直に、はっきりと伝えるという行動、そして「決心すること」が一番大切です。

この時、最も大切なことは、自分たちを支え、見守ってくれる専門家とつながっている(連携している)ことが必須条件となります。

自分たちだけで問題を解決しようとする姿勢も確かに大切ですが、とても危険性が高いので、専門家の視点からすると、控えて欲しい選択です。

子どもに伝える「タイミング、内容、子どもから一層の攻撃を受けた時の対処法」など、多くのケースを想定し、支援者と事前に打ち合わせをしてから実行に移すことが肝要です。

実行に移す第一歩は、親として心の底から湧きあがってくる本当の気持ち(悔しさや無念など)、そして我が子が大切だという想いと「暴力」という現実のアンバランスさなどを心に思い浮かべながら、正直に「ごめんね」と伝えてあげることです。

子どもと真正面から向き合い、親の素直な気持ちをストレートに伝えてあげるのです。

これができているようで、実際できていないというご家庭が実に多いものです。

その先の対応は家庭の状況にも依りますので、専門家と話し合いながら進めていくことになります。

焦らず、支援者(専門家)と乗り越える

「家庭内暴力」という問題には、決して特効薬のようなものはありません。

魔法のような解決策があるわけでもないので、短期間でよくなるというような楽観視はしないでください。

心の問題に、焦りは禁物です。

家庭内暴力は、社会的要因に加えて、親子間に長年積りに積もったうっぷんや、社会的な親子関係の行き詰まりから生まれていることがあります。

だからこそ、それを取り戻していくには、同じくらいかそれ以上の年月が必要であり、長い道のりが待っていると認識していただく必要があります。

親の対応において大切なことは、「親にできることはもうない」と心の底から悟り、家族以外の人間に助けを求める決心をすることです。

これが、最初にして最大の一歩なのです。

言い換えるなら、本当の意味での「子離れ」とういうことにもなります。

子離れも親離れも、大なり小なりそれなりの「痛み」が伴います。

この「痛み」を、家族内・親子間だけで乗り切ろうとするのではなく、信頼できる第三者という支援者(専門家)の協力の元であれば、より確実に乗り切ることができるのです。

将来、自立していくわが子を目にする時、心の底から「ありがとう」と感じる気持ちを味わうその日のためにも、支援者と共に歩む道を考えていただければ幸いです。