人格障害とは

人格障害の原因・治療・改善方法などについて、実は未だにはっきりしたことが明らかにされていません。

 

まだまだ世間での認知度は低く、あまり耳にしたことがないと言われるような心理障害のひとつです。

 

そのせいか、症状や障害、対応の仕方そのものについて”周囲に理解されない”ということがよくあります。

 

周囲からは「性格の問題」「わがまま」「甘え」などと誤解されがちなためか、当の本人が抱える”理解されない苦しみ”には想像を絶するものがあります。

 

「本当に苦しんでいるのに!」

「わがままでも甘えでもないのに!」

「わかってくれる人なんか誰もいない!」

 

このように「誰かの理解が得られないこと」は、本人の心に何よりもつらい体験として刻まれます。

 

それらは新たなストレスやトラウマとなり、家や学校、職場などで徐々に人を避けるようになり、ついには完全に”自分の居場所”を失ってしまいます。

 

その結果、本人は絶望、自己否定、自信喪失、人間不信、うつ傾向などに陥ってしまいます。

 

やがて、学校では不登校、中退に、職場などは休みがち、休職、辞職に、そして家では引きこもり、家庭内暴力、過食、拒食、依存症、強迫症、果ては自分を傷めつけるようにもなってしまいます。

 

また、このように”周囲に理解されないケース”の他にも、症状によっては本人が「私は病気なんかじゃない!」と言って、自らが病気であると認めない(病識がない)場合もあります。

 

どちらにせよ最終的には居場所を失い、「症状の更なる悪化」と「社会からの孤立」という望まぬ結果を招いてしまいます。

 

理解者の存在

理解者は、人格障害を含む心理障害全般において、治療・回復に欠かせない存在であることはもちろん、その人の「居場所そのもの」としての機能も兼ね備えています。

 

そして、その理解者(居場所)になり得る存在は必ずしも家族や友人だけとは限りません。

 

それは医者や専門家など、障害や症状の知識を持った「第三者」であったりします。

 

その背景として、本人がすでに周囲に対し不信感を覚えているような状況においては、近しい人ほど既に「信用ならない」というレッテルを貼られてしまっている可能性が挙げられます。

 

このような理由から、まだ未評価である第三者は本人との新たな人間関係を築いていく上で最適な距離感と言えます。

 

そして、予め知識を備えている医者や専門家などは初めから理解を示してくれるため、本人に「この人は味方かもしれない」という認識を持たれやすい傾向にあります。

 

「自分の話に耳を傾けてじっと聞いてくれる」

「訴えを否定せず、共感してくれる」

「病気を治していこうと声をかけてくれる」

 

そんな理解者がそばにいてくれることで、不信や疑心といった負の感情に覆われてしまった心を少しずつ解きほぐし、”他者を信頼する心”を取り戻していってもらいます。

 

無事に信頼を得ることが叶ったなら、症状の改善や治療に向けて話を進めたりと、できることの幅もどんどん広がっていきます。

 

居場所であり続ける意味

そもそもの問題として、風邪やインフルエンザのように人格障害という心理障害の認知度が世間一般に広まっていてくれたなら、このような誤解や無理解も生れなかったでしょう。

 

しかし、そうなるためにはまだまだ多大な時間と労力が必要なため、残念ながらただちに実現することは難しいと言えます。

 

それまでは、少しでも多くの人が人格障害を知り、症状に苦しんでいる人に理解を示してくれるだけで、どれだけその人が救われるかわかりません。

 

当施設はそんな人格障害の専門家として、第一人者として、最前線で障害と向き合い、理解を示してきました。

 

少しでも多くの方が苦しみやつらさから解放されるための”居場所”であり続るために、今後も引き続き当事者たちに寄り添い、支えていくつもりです。

 

仲間たちの大切さ

当施設の長い臨床経験からみても、”同じ悩みを持った仲間がいる”ということは、ある意味医者や心理士よりも大きなことのように思えてなりません。

 

例えば、過去の入所利用者の中に強い自己否定感を持った女性がいました。

 

彼女は、同時期に入所していた仲間たちとたくさん語り合い、自分の抱えているつらさ、悲しみ、恨みといった感情を互いに受け止めあいながら絆を深めていきました。

 

その過程で、自分のことを責めることしかしてこなかった彼女が、仲間たちやスタッフに「よく頑張ってきたね」「あなたは立派にやっているよ」という声をかけてもらい、初めて自分に対して肯定的な感情を抱き始めたのでした。

 

このような心情の変化は、家族の助力や彼女自身の力だけでは成し得なかったことでしょう。

 

よりたくさんの仲間(理解者)に”認められる”という体験をした彼女は、いつしか口癖のように言っていた「死にたい」という言葉を全く使わなくなっていました。

 

仲間たちがもたらしてくれるぬくもりや、共感、肯定といったものが、自分の居場所がないと感じる人に与える影響の数々には目を見張るものがあります。

 

そこで新たに、自分を受け入れたり、割り切ったりするという考え方に気づかれる方もいます。

 

また、心理カウンセリングを通してそれを自分に応用する技術を学ぶこともできます。

 

当施設では、これらのことからも”仲間”の存在を大切に考え、同時期に入所している仲間同士が積極的に関わり合える機会を設けています。

 

もし、今も人格障害に悩まされている方で当施設の支援に関心を持たれましたら、ぜひ一度お問い合わせください。

 

あなたの居場所がきっと見つかることをお約束いたします。

 

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