皆さん、こんにちは。

シリーズブログの第一部「小さな気づきで全てが変わる~Small changes make
a big difference」21回目になります。

当センターでは、2015年頃から、20年以上もの臨床経験から膨大な利用者データを統計的に処理し、その傾向を探し出すというプロジェクトを立ち上げています。

ご家族や本人を含めた利用者は一体どんなことに困っていて、当センターを利用しているのかということを明確にしようという内容のものですが、今回は、その過程で浮かび上がってきた、あるキーワードについて説明して参ります。

「被害意識」

プロジェクト進行中に「被害意識」というキーワードが目につきました。

パーソナリティ障害者の中には、自傷行為や家庭内暴力、数々の依存行動や犯罪行為を繰り返す方々がいますが、実はそれらの行動を引き起こしている根底には、この「被害意識」が存在していることが当センター独自の統計処理により表面化してきました。

彼らの心理ケアには、この「被害意識」という症状の軽減が必要不可欠になってくるということになります。

そこで今回は「被害意識」が出来上がってしまうまでのプロセスを簡単に紹介していきます。

被害意識ができあがるまでのプロセス

分かりやすい例として、母親が父親や姑に一方的にいじめられ、我慢を強いられている姿を息子や娘が見ていたとしましょう。

いわゆる「不幸な母親」を持った子どものケースです。

子どもはどう思うかというと、心のどこかで「不幸な母親を私が守ってあげなければいけない!」と思い始めます。

多くの場合、ここに母子密着型共依存関係が確立されていきます。

こういった関係性が出来上がったとしても、友人や先輩、恋人などの家族以外の関係で、自分なりの逃げ場所を持っていれば問題の深刻化を防ぐことができるのですが、もしこういった関係を持っていない場合には、残念なことに「被害意識」の芽が育ち始めてしまいます。

常に家族の雰囲気や母親の顔色やご機嫌を気にしているので、自分のことは後回しになります。

結果的にアイデンティティが確立されず、「自分は一体何者なんだ?」という疑問を持ち続けたまま成人になっていくのです。

要するに、母親の幸せを願うあまり、自分は色々なことを我慢していくわけです。

起こり得る問題と家族へ及ぼす影響

そうこうしている間に、いったん社会に出てみると、自信のなさが浮き彫りになり、周囲の評価がとても気になります。

今まで抑え込まれていた感情も湧き上がってきて抑えきれなくなります。

学校や仕事も継続することが難しくなり、母親の住む実家に戻ってきます。

すると今まで不幸の母親を演じていたはずの母親が、それ相応に幸せそうに暮らしていたりします。

しまいには「早く一人前の大人になって自立しなさい!」と言われたりするのです。

途端に怒りが沸き起こり、「今までお母さんのために我慢してきたのに!味方になってあげたのに!今頃のうのうと暮らしているんじゃないよ!色々うまくいかないのは全部お前のせいだ!責任を持って私の面倒を見ろ!」という具合に、いよいよ被害意識が本格化してきます。

まだ言葉で表現できればいいですが、言葉で表現できない場合には、当然、母親への暴力がエスカレートしていくことは容易に想像がつくと思います。

いったん被害意識チャンネルが入ってしまうと、自己中心的に物事をとらえていきます。

「誰かが、私の悪口を言っている」というものから始まり、「周りは私の苦しみを何も理解していない。クズばっかりだ!」「私はこんなに辛いのに何もしようとしない」というものもあります。

本人はそう思い込んでいるので、周囲が「それは被害妄想だよ」と指摘してあげても、自分が被害意識であるという認識はありません。

逆に「そうやって私を病人扱いするのか!」とキレてしまうことも珍しくありません。

このように、パーソナリティ障害の心理ケアには「被害意識」へのアプローチが絶対条件になってくるのです。

この被害意識は、放っておけば自然と治まってくることはあり得ません

むしろ様々な行動として表面化し、家族を振り回していきます。

ですから、被害意識へのアプローチは早ければ早いほど、予後は良いと言えるでしょう。

お心当たりのある方は、ぜひ、当センターホームページ内の「被害意識」の項目をチェックしてみてください。