親が変われば子どもは変わると言われるが、本当なの?

そのように私たちは信じます。ですが、それは親御さんの変化のみを意味するのではなく、お子さんの変化と合わせた両者の変化として私どもは理解します。

ではどんな変化かと言いますと、それは、親御さんの中で「自らの気持ちに素直になれる」「もっと力を抜いて子どもさんと向き合えるようになる」という変化のように思えます(決して、無関心である、放っておく等の意味ではありません)。

パーソナリティ障害者を抱えるご家族の多くは、様々な周りからの先入観(病気・不調に対する誤解)や混乱の連続の中にあるため、「自分がもっとしっかりしないと」「あの子に気づかせてあげないと…」などの使命感のような責任を強く感じている傾向がみられます。また、感じるだけでなく、実際にそのような行動としてお子さん(パーソナリティ障害者)に接している傾向もあります。

ですが、そうした関わり方は、「良くない部分」「悪い部分」にばかり注意が向きやすく、代わりに、自他のなかで「頑張っている部分」「ちゃんとやれている部分」を見落としがちになります。

親子関係(近しい関係性)の発展原理は「認め合い」ですから、こうした意気込みは、両者の絆を邪魔してしまい、どうしても関係性はぎこちなくなりがちです。

そこで、当センターでは、まず自らの気持ちに気づくことを親御さんらにはお勧めします。例えば、先ほどの意気込みについても、それとは正反対に、「疲れ切ってしまった」「無力でたまらない」「今はもう関わりたくない」など、素直な心が存在しているなら、それらを否定せず無視せずに、ありのままの自分として認めることを繰り返してお伝えします。

親御さん自身が、そうした自分の気持ちを認め、時にはねぎらってあげるかのように、自分とやさしく接し始めると、不思議と、お子さんとの接し方にもやわかさが生まれてくるように思われます。

一方の親御さん自身の中にも、余計な力が和らいでいくこと感じるようになり、それまでどれだけ「力んでいたか」「空回りしていたか」などの理解(気づき)も明確にわかるようになるものです。そのような変化を促すために、私どもは、親御さんの正直な気持ちを大切にしています。