自立を助ける考え方

お子さんの”親からの自立”を促すきっかけのひとつに、次のような「お子さんの依存先(心のよりどころ)を増やしてあげる」という考え方があります。

 

そのためには、福祉サービスの利用機会を増やしてあげたり、話をわかってもらえる人や場所とつなげてあげることが効果的です。

 

具体的に言うと、家族以外で「金銭面」や「生活の場」としてのサポートを行っている機関を紹介したり、提供してあげることです。

 

例えば、金銭面のサポートであれば、まず福祉サービス(障害者手帳、障害年金など)の申請が考えられます。

 

これには、一定の金銭的サポート(障害年金、、福祉サービス)を受けることで、親の負担が減ったり、お子さんの心にゆとりが生まれたり、お子さんの将来設計を描きやすくなるというメリットがあります。

 

生活の場としてのサポートでは、家族以外で話を聞いてもらえるような場(人や場所)の活用は、お子さんの自立を促す大きな力となってくれます。

 

特に、親を責め続けるようなお子さんの場合、そんな気持ちすらもわかってもらえたり、理解を示してくれる場に身を置くことで、自分の中のつらさを整理したり、”本当はこんな悩みがある”といった自己理解に進むことができます。

 

これにより、自発的に問題と向き合ったり、またその問題を解決するための工夫やアイディア(社会参加へのコツや練習など)に意識を向けたりすることにも役立ちます。

 

とはいえ、成人後しばらく経つお子さん(20代後半以降)のうち、自宅に引きこもったり、親や他者を責める言動が長期化している方の中には、社会生活や集団行動に”人一倍敏感な感覚”を持っていることが少なくありません。

 

それは「感覚の特性」と言われるもので、外からは見えなくとも、確かに本人の中に存在する”生きにくさ”そのものであり、これを無視して子供の自立を考えていくことはできません。

 

感覚の敏感さ

”感覚の敏感さ”とは、「音」「光」「におい」「味」「肌の感覚」といった五感に関する敏感さに始まります。

 

それ以外にも「物事の進め方のルール」「見え方や配置などに関する敏感さ(こだわり)」「他者の考え方(自分への評価)や嫌な記憶に対する敏感さ」などがあります。

 

こうした感覚の鋭さを持つようなお子さんは、過去のつらい体験(記憶)を思い出しやすく、また、それを思い出しながら、さらに深く(長く)考え続けてしまう傾向にあります。

 

社会場面においても、一般の人にはわからないほどの些細な刺激を拾いやすく、そのことを気にして疲れてしまうのです。

 

こうした鋭さのことを「感覚処理の感受性」と言って、現在は脳科学や神経生物学でも研究が盛んに行われ始めています。

 

その原因や構造についてはまだ未解明な部分が多く、これらが「生まれつきのものであること」や、「努力不足や怠けているわけではない」との点で研究者らの合意が成立しています。

 

当施設にできること

もしもお子さんがこうした問題(生きにくさ)を抱えているとすれば、それは支援の対象であり、自立(社会参加)へのサポートを必要としていると考えられます。

 

当施設では、心の専門家(臨床心理士、公認心理師)を常駐させており、お子さんの生きにくさの背景にある「生まれつきの特性(感覚の特性、発達の凸凹など)」を踏まえたうえでお子さんの悩みに耳を傾け、その解消や解決をサポートしていきます。

 

特に、感覚の特性(敏感さ)や発達の凸凹については、そのふるい分けができる「スクリーニング検査」等もあります。

 

その検査結果をもって精神科を受診されると、先述した福祉サービス(障害者手帳、種がい年金)の申請案についても具体的な検討がしやすくなります。

 

まずはご家族の方からお子さんに関する情報をいただき、お子さんの抱える生きにくさの”意味”を多面的に検討できればと思っております。

 

今まさに”どうしたらいいかわからない”と悩まれている方は、当施設の相談窓口まで一度ご連絡いただければと思います。

 

お子さんの「成長」「自立」をお手伝いいたします。

 

※関連記事「親を責め続ける子供の人格障害年金受給」