今回は、心理士の観点から「親を恨む子ども」についての考察をご紹介します。
大変なご状況にあるご家族の改善ヒントとして、少しでも役立てていただければ幸いです。
【目次】
・まとめ |
親に認めてもらいたい
親を恨むようになってしまったお子さんは、どういった気持ちからそういった行動を始めるようになったかについてまずご説明します。
考えられる原因として、
- 自分の主張(生きにくさ、思い通りに行かない点など)を伝えたい
- 頑張りを分かってもらいたい、認めてもらいたい
などがあり、それらを素直に言葉で伝えることができない不満やストレスから、いつしか親を恨むようになっていることが考えられます。
次に、どうして言葉で伝えることが難しくなってしまったのかという点について考えてみると、これまでの親と子のかかわり方が大きく影響していることがわかります。
なぜなら、すべてのお子さんにとって「親の存在」は大きく、それゆえに親の態度や言動の一つひとつはお子さんに様々な影響を与えるものだからです。
特に、心のバランスを崩しているお子さんに対しては、普段の親の何気ない一言ですらデリケートに反応してしまいます。
例えば、わが子のためを思っての一言が、お子さんに“大きなプレッシャー”となってのしかかり、多大なストレスを生んでしまうこともあるでしょう。
そのような精神状態にあるお子さんが、親に対して気軽に、ましてや素直に何かを伝えるといった行動が困難になってしまうであろうことは想像に難くないと思います。
対処のしかた
親を恨むようになってしまったお子さんに対しては、イライラや不安がピーク状態にある時は、その“嵐”が過ぎ去るのを待つことから立て直していきましょう。
どんな発作や不調の波にも必ずピークというものがあり、そのピークを過ぎれば次第に気持ちも落ち着いていき、「本来の自分」を取り戻していきます。
ピークの待ち方のコツとしては、ただぼーっと待つのではなく、
「そう思ってるんだね」
「だからイライラしてたのね」
「正直に言ってくれてありがとう」
など、相手の“気持ちを認めてあげる”という姿勢が理解を示す態度として現れ、お子さんにも伝わります。
嵐のピークの待ち方が分かれば、きっと、親と子の双方の安心や信頼関係のヒントにもつながるはずです。
深層心理で自己否定
親を恨む言動が「自分を否定している」という深層の心情を反映していることも少なくありません。
心理学では、このような現象を「投影」と呼んでいます。
投影とは、自分の中の心像(考えや気持ちなど)を、自分以外の他者に投影するという原始的な心の使い方の一つです。
例えば、
「お母さんは私のことを”面倒な子”だと思っているでしょ!」
と、お子さんが訴えることがあるとしましょう。
その場合、 “面倒な子”という判断は、自分への自己評価として、元々お子さんが自らに対して向けていた考え(思い込み)であったりします。
それを「相手もそう思っているに違いない」という言葉で表現しているものが投影です。
心のバランスを崩しているお子さんの多くは、過去に挫折や傷心の経験が多くあるものです。
深層心理では、それらを”自分のせい”として、自責の念に苦しんでいることも少なくありません。
実際に、当施設を利用している方の多くが、そのような自己批判的な思い込みに苦しんでいます。
そうした場合、私たちのような支援する側の人間は、誰よりも相手の話をフラット(中立)に聴ける立場であることを意識して接しています。
『お子さんの訴え(不平不満)から逃げず、じっくりと向き合い、辛抱強く聴いてくれる。』
そんな存在が、お子さんが自分の深層に関わる問題(自分のせい…かもしれない)を扱おうとする場面が来たときの土台(勇気)となってくれます。
心の病気かも
不平不満や不機嫌さというのは、誰もが日常で経験する内的体験です。
私たちは普段、それらの感情をTPO(時と場所と場合)で判断し、上手にコントロールしています。
ですが、そのような負の感情がTPOを問わず表に現れてしまうような場合、それらをコントロールするための精神機能がうまく働いていない状態と考えることができます。
それはつまり、心の病気(脳の働きが不調になっている)というレベルに相当します。
そのような症状の影響によって、本来のお子さんの“力”が抑えられてしまっているということも視野に入れて考えなければなりません。
もしそうであると考えられる場合、お子さんの「病気が引き起こしている部分」を理解することからサポートを進める必要が出てきます。
心の病気は、すぐに専門家(精神科医、臨床心理士、公認心理師など)へご相談していただくことで、長期化や重症化などのリスクを回避することができます。
まとめ
ここまで、親を恨む子どもについて、色々な角度からその原因や対処法をいくつかご紹介して参りました。
本来安心できるはずのご家庭において、こうした理由から親も子も安心して暮らすことができないということは、本当につらいことでしょう。
私たちは、そうしたご家族の一助となれるよう、施設入所による宿泊支援という、徹底して寄り添いながらサポートできる資源を潤沢にご用意しております。
「家族だけではどうにもならない…」
このような悲痛な苦しみを抱える親御さんの目に留まり、当施設の提供するサポート資源を有効利用していただけることを願って、これからも情報発信を続けていきます。
専門施設として「パーソナリティ障害宿泊・心理支援センター」
施設長
佐藤矢市
2000年度に開設以来、本来安心できるはずのご家族において、親も子も安心して暮らすことができないということは本当につらいことでしょう。私たちはそうしたご家族の一助となれるよう、尽力しております。
費用
初回面談 施設見学 |
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初回面談の特典 |
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宿泊料金 | 支援ニーズにより異なります。まずはお問合せください |
※詳しくは下記URLよりアクセスください。
業心理障害グループホーム「地上のひかり」
施設長
佐藤靖人
2021年度に開設し、この度「JECパーソナリティ障害宿泊・心理支援センター」と業務提携を結びました。
心理障害を抱えた方に向けて、心理ケアやスポーツが盛り込まれた生活を通し、楽しく学びながら成長し、将来への希望が見出せます。
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