皆さん、こんにちは。

シリーズブログの第二部「同じ悩みを持つ母親たちがここにいる~There’re mothers just like you~」7回目になります。

今回は、子ども自身に病識(病気だという自覚)がない時の対処法についてご紹介して参ります。

試される親の覚悟

日頃から数々の問題行動を起こしているにもかかわらず、子ども自身に病識が全くないというケースは非常に多いものです。

親が少しでも「病院に行ってみないか?」「薬を飲んでみないか?」などと提案しようものなら、「病人扱いするんじゃない!病院へ行くべきなのはお前たちだ!」といった具合に反論してくるでしょう。

このように、病識がない子ども達が自らの意志でカウンセリングや通院に応じてくれるという事はまずありえません。

しかし、親の対応の仕方によっては子どもたちを変えられる可能性は大いに望めます。

子どもに判断を仰ぐのではなく、親が「我が子の将来を想う、強い意志を持っているんだぞ」という覚悟を伝えられるということが大きなカギ(要因)となってくるのですが、この行為は同時に家族への「愛」であったり、「結束力」といったものが試される絶好の機会でもあるのです。

多くの親御さん達は、子どもが嫌がることに対して「かわいそうだ」と感じたり、罪悪感が刺激されて、我が子にはっきりと親の意志や考えを伝えられないことがあります。

このような親の姿勢を子どもたちはよく見ているものです。

迷いがあればあるほど、その迷っている親の姿を子どもたちは厳しく直面化していきます。

強制入院という選択肢を考える親御さんも少なくありませんが、これは逆に親への恨みや憎しみを助長してしまうことにつながり易く、退院後に実家へ戻る頃には、さらに深刻な状態になってしまうこともあります。

予防対策として最善なのは、手の付けられない状況に発展してしまう前に専門家の介入を検討していただくことであると思います。

「そのうち治るだろう」や、「いつか終わるだろう」といった楽観的な考えでいては、かえって状況を悪化させ、事態が深刻化してしまうだけです。

決して子どもに嘘をつかず、「良くなって欲しい」「自分たちも余生を生きるために決断した」といった親の“本心”を正直に伝えて欲しいと思います。

そうはいっても、どのタイミングでどう伝えたらいいのかわからないと訴える親御さんもいると思われますので、そんな時こそ、当センターのような施設で専門家と一緒に子どもと向き合う姿勢や伝え方のスキルなどを、ロールプレイを通して学習していただくことをおすすめします。

また、家庭訪問を繰り返すことでも少しずつ病識のない子ども達の心に変化が生まれ、入所に至るというケースもあります。

いずれにしても、子どもと向き合おうとする親の「決意」と「覚悟」が必要になることは間違いないでしょう。

最後に、「子どもが病院や施設に行きたがらない」「病識がなくて困っている」という現状に対する不満をただ訴え続けるだけでは変化はあまり期待できないので、親が子どもに社会自立を願う気持ちを伝える努力や工夫を、身内だけではなく、専門家と一緒に取り組んでいくことが、間違いなく子どもの自立や回復への近道になると念を押しておきます。