皆さん、こんにちは。
シリーズブログの第一部「小さな気づきで全てが変わる~Small changes make
a big difference」16回目になります。
今回は過去に当センターで実際に行われていた当センター利用者である現役のの研修生たち(当事者)と卒業生たち(回復者)による「座談会」の様子についてご紹介して参ります。
座談会における当事者と回復者
「座談会」という名目で、毎回あるテーマに沿って研修生たちが自分の体験談や考え、気持ちなどをシェアできる時間と場所を定期的に設けていました。
もちろん、まとめ役として当センター専属スタッフが同席し、参加者の皆さんが自由にかつ安全に話し合えるような手助けも行いました。
その座談会には、現在進行形で悩み苦しんでいる方の他に、卒業生(OBやOG)の方々にも参加していただき、更なるアドバイスもいただきました。
普段と違い、自分だけの狭い価値観や発想だけではない、個人という枠を超えた色々な発想に触れることができる貴重な場でもありました。
そんな座談会で、実際に参加者同士が発言されていたフレーズを参考に、当事者と回復者の違いについて見ていきたいと思います。
回復者の特徴としては、以前の記事にも書きましたが、「観察自我」が育っているので、自分や親との関係、または他者との関係を、一歩下がった位置から客観的に捉えることができるようになっています。
一方、当事者は自分や他人との関係を主観的に見過ぎてしまうがゆえに、苦しくなってしまっているようです。
当事者と回復者のフレーズ紹介
座談会における印象深いフレーズをピックアップしてご紹介して参ります。
まずは当事者側(研修生側)のフレーズをご覧ください。
「こうなったのは全て親のせいだ!」
「親がもっと普通に育ててくれていたらよかったのに・・」
「私は悪くない!悪いのは全て周りだ!」
「私の苦しさを察してほしい」
「どうして周囲は自分を攻撃してくるのかわからない・・」
「何をやってもうまくいかない・・もう絶望的だ」
「不安で不安でたまらなく、どうにかなってしまいそう・・」
「周りからどういう風に見られているのかが気になる」
次に回復者側(卒業生側)のフレーズをご覧ください。
「私と親は全く別の存在であると区別するようになった」
「私の中にある個性に目を向けられるようになった」
「誰しも良い所と悪い所を持っているものだ」
「うまくいかないことがあっても、時間の経過で見えてくることもある」
「分かり合えなくてもいいやと吹っ切れることも大切だと思う」
「いつも我慢ばかりで苦しかったので、時には自分を表現してもいい」
「今までの人生を考えれば、不安を感じて当然だ」
「すべての人に理解してもらわなくてもいいと思う」
以上が二者それぞれのフレーズの一部になります。
その違いは明らかに見て取れますが、当事者たちは視野の狭さから、「自分」しか見ることができず、周囲に理解されること、変化することを強く期待してしまい、それが満たされないことに対する怒りと共に強い恐怖感や孤独感を抱きやすくなってしまう傾向にあるようです。
一方、回復者たちは上記のフレーズや観察自我に加え、
「一人で居られる(一人を楽しめる)」
「 親のことで過剰なエネルギーを使わない」
「何事にも“良い加減”で取り組める」
「自分は世の中に受け入れられて当たり前という確信が持てる」
といった共通点も見られます。
自分の視点とは違う発想を大切にする
では、どうしたら主観的にしか物事をとらえられない当事者が、回復者のような客観的視点を持てるようになるのでしょうか。
やはり一番効果的な方法は、一歩も二歩も先を歩いている経験者である先輩方から、「自分の視点とは違う発想を聞く」という経験を増やすことでしょう。
最初はなかなか言っていることが理解できないかもしれませんが、少しずつでいいので「そういう発想もあるのかもしれない」と思えるようになったり、実践できるようになったりして欲しいと思います。
もし、「実践してみよう!」と少しでも思えるようになれば、回復までのステップの内、半分は来ていると見てもよいでしょう。
このように回復者には回復していくだけの理由と背景がしっかりとあるので、ぜひ参考にされてはいかがでしょうか。