皆さん、こんにちは。
シリーズブログの第一部「小さな気づきで全てが変わる~Small changes make
a big difference」7回目になります。
今回は、パーソナリティ障害の基本症状の一つである「両極端な認知」について詳しく解説して参ります。
両極端な認知とその例
「白か黒か」「全か無か」「完璧か大失敗か」「敵か味方か」などのように、「中間」という概念がない考え方に陥ってしまう特徴です。
これは、曖昧さやグレーゾーンといった状態に耐えられないために、即座にどちらか一方に結論を結び付けようという思考回路から来ています。
ある物事が、「全体」として見れば素晴らしくうまくいっていたとしても、その中のたった一つの事象が思い通りにいっていなかったりすることがあると、全て台無しになったように感じてしまい、それならば最初からやらなかったほうがマシだったと思い込んでしまい、自分の世界に引きこもってしまう、というケースもあります。
ある20代の女性は、自分の理想とする体重を上回ってしまったことを悔み続け、「着る服もない・・こんなデブでは誰にも相手にされない・・みんなにバカにされて、もう何をやってもダメだ。」と言って、一日中何もせずゴロゴロしていました。
理想的な自分というパーフェクトな体が手に入らないと、もうすべてがどうでもよくなってしまい、現実的な“ほどよい”努力をしようとする気持ちが持てないのです。
人間関係における影響とその克服
人間関係においても、「敵か味方か」という視点で見ていますので、自分のことを否定しない、いつも優しく受け入れてくれる人は味方に分類され、逆に少しでも自分にとって否定的な言葉をかけてくる人は、一瞬で敵として分類されてしまいます。
味方に分類されている時は、相手を神様のような存在とみなし、その相手に必死に近づこうとしたり、気に入られようとします。
相手からすると、「なんでこんなに親切にしてくれるんだろう?ちょっと気持ち悪いけど、悪い気はしない・・」くらいの気持ちにさせられます。
しかし、敵に分類された途端に、自分自身を守ろうとするあまり、突如として罵倒を浴びせられたり、時には暴力などを振るわれてしまう場合もあります(恋愛関係などではよく見られるパターン)。
心理療法では、この極端に二極化してしまっている考え方を、少しずつ統合していく作業を行っていくわけですが、具体的な目標は、「すぐに白黒の判断をつけずに、それでも耐えられる心の強さや曖昧さを受け入れられるようになること」が回復のための目安となります。
当センターでも、この「二極化思考」にとらわれて、人間関係などでトラブルが起きてしまった場合、スタッフと一緒に冷静に話し合い、考え、徐々に克服していくということを日々繰り返し訓練しています。
そして、自分のパーソナリティ特性を変えていく努力より、まだ気づいていない特性(長所)を専門家と一緒に伸ばし、自分のものとして身につけた方がより効果的であるとも考えます。
反省会などは疲れてしまうのでやめたほうがいいでしょう。
「克服する」ということは必ずしも悪い部分を治すことだけを指すのではなく、良い部分を伸ばすことでも立派に成し遂げることができるのです。
自分自身の未来のために、私たちのような専門家と一緒に、「自分らしさ」を探してみてはどうでしょうか。