皆さん、こんにちは。
佐藤矢市先生の「パーソナリティ障害の回復には決断と見守る連携が必要」シリーズ第7回目となります。
今回は様々なパーソナリティ障害の方が抱える問題の一つでもある「被害意識」について解説して参ります。
被害意識に至る経緯
パーソナリティ障害の方の多くは、周囲を「敵か味方か」という二極化思考でとらえる傾向にあり、どうしても相手を認め、受け入れることが難しいのです。
また、本音では、『いつも孤独で寂しい・・・』『誰かに甘えたい・・・』『認めてほしい・・・』という願望を抱いていたとしても、『相手に馬鹿にされたくない』『弱みを握られたくない』『嫌われたくない』などの理由から、それを素直に表現できず、心の深いところに抑え込んでいきます。
その結果、様々な問題行動や症状が表面化してくるのです。
その一つが「被害意識」なのです。
被害意識のフレーズ
「被害意識」と言っても、どういったものなのか、なかなかイメージしづらいと思います。
実際に「被害意識モード」に入っている方たちには、お決まりとも言えるフレーズがいくつかあるので、イメージしやすいように具体例として挙げてみたいと思います。
「私のことを馬鹿にしている!見下すな!」
「もう騙されるのは嫌だ!いつも罠にはめられる!」
「話を操作された・・・捻じ曲げられた・・・」
「はけ口にされた・・・利用された・・・」
「私がこんなに苦しんでいるのに、親はわかってくれない!わかろうともしない!」
「あなた(親)の言葉がどれほど私を傷つけているか考えたことがありますか?」
「一方的に決めつけて言うんじゃなくて、私に分かるように話して!」
など、このような言い回しが「被害意識」に当てはまる可能性があります。
「前向き」思考を学ぶ研修生たち
当センターには、「社会での協調性を育む」という基本理念があります。
過去にも、研修生たちに向けて「社会性におけるコミュニケーションとは?」と題した心理学特別講座を数回開き、被害意識のメカニズムについて解説して参りました。
また、その一環として、市内の催し物である住民参加型の地区対抗運動会にも数名が参加し、実際の社会に触れて、肌で感じるコミュニケーションを体験する機会もありました。
参加された研修生たちにとって、『楽しむとは?』『集団とは?』『協調性とは?』など、前向き思考へと結びつくための多くのことについて学ぶ貴重な「きっかけ」になったと思われます。
社会で、敵か味方かの二極思考以外の考え方があることや、人に認められたり、評価されたりすることで、コミュニケーションの基本である「相手を受け入れる」という難しい作業を体験し、成長してくれています。
この「相手を受け入れる」ことこそが、被害意識回避につながるのではないかと思われます。
私どもは、子どもたちの問題行動を障害として治療、支援することに重きを置いていますが、本当のところは、パーソナリティの「特性」を理解し、活かしていくことを応援していきたいと思っております。
どうかこれからも、かけがえのないお子さんを、大切に見守ってあげてください。