皆さん、こんにちは。今回がYさんに体験談をシェアしていただく最終回となります。まだYさんの体験談を読まれていない方は、過去の投稿を是非ご覧ください。

 
Yさんは、3年程前から当センターでの生活を始められました。
 
入所開始当初は、突然発作に襲われては、スタッフのところへ駆け込み、言葉にならない不安を語ったり、また多重人格(解離性同一性障害)もあったので、様々な人格が入れ代わり立ち代わりしていたこともありました。
 
ある期間は、一言もしゃべらなくなってしまい、筆談でコミュニケーションを取っていたこともありました。
 
そんな体験をされてきたYさんから、今まさに苦しさや辛さのまっただ中にいるご本人やご家族に、貴重なメッセージをいただきました。
 
早速、見ていくことにしましょう。

当事者の実体験より

私はセンターに来る前まで苦しくて死にたい気持ちでいっぱいでした。
 
ほとんどを親のせいにして、自分が悪いことを認めたくなかったし、死んでしまえば全てから逃げられるとも考えていたからです。
 
そんな私が辛くても幸せだと言える日が来るとは思いませんでした。
 
例えば昔の私なら何かにつまずいたり辛くなるとすぐに諦めて引きこもっていましたが、今の私は苦しくなったら相談する、つまずいたら分かる人に聞くというように周りに頼るようになりました。
 
引きこもっていた時期は親としか会話が出来ず、相談しようものなら自分勝手にパニックになって状況を悪化させるだけでした。
 
でも病気を理解し、長い間言語能力を鍛えてくれたり、相談して良いという安心感を与えてくれる場所に出会えたことで、今は辛くてもいずれ幸せになれると未来に希望を見るようになったのです。
 
そのおかげで好きなことや興味があることに対して頑張ろうとも思えるようになったし、自分にも自信がつき、今ではパニックを起こすことや他の人格が出ることがほとんどなくなりました。
 
精神的に不安定なときも支えてくれる存在がいるというだけで励みになります。
 
三年前の私からは想像も出来ない回復でした。
 
これも全て父親がセンターを探してくれて、子供を手放す決断をしてくれたからだと思います。
 
前までなら見捨てられたと思いますが、そのおかげでここまで回復出来たので親には感謝しています。
 
家で隠しているだけが、子供の幸せではないのです。
 
親が子離れをして思い切って手放すことも大切だと感じました。
 
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いかがでしたでしょうか。
 
私達から見ていても、Yさんは症状の回復の経過と共に、周囲や他人に上手に頼れるようになってきたように感じます。
 
それまでは「何が何でも自分独りで解決しなくちゃ!」という思いが強すぎたために、全てを背負い込んでいました。
 
それだけ、自分も他人も信頼できていなかったのでしょう。
 
Yさんの語りの中に登場する、一つ一つの言葉には、回復となる目安や基準がたくさん含まれています。
 
親との心理的距離の取り方、不安への対処法、対人関係の築き方、自分の捉え方など、当事者にとっては、勉強になることばかりではないでしょうか。
 
もし今は理解できなくても、自分が楽になっていくためには、必ずと言っていいほど、通る通過点でもあります。
 
是非、過去のYさんの投稿も含めてもう一度振り返っていただければと思います。
 
貴重な体験談をシェアして下さったYさん、本当にありがとうございました。
 
様々な悩みを抱える当事者やご家族に、夢と希望を与えて下さったことと思います。
 
改めまして、感謝の意を表したいと思います。