皆さん、こんにちは。今回Yさんにシェアしていただく体験談は「被害妄想とパニック」です(過去のシリーズはこちら)。
被害妄想は、以前の投稿でも取り上げましたが、(簡単に説明すると)物事を「自己中心的に捉えて、自分の都合の良い風に、勝手に思い込んでいく思考パターン」です。
簡単な例えで言えば、誰かが咳払いやくしゃみをしたとしましょう。
これらは人間の自然反応の一つですから、悪意や敵意などはあるはずがありません。
しかし、被害妄想という視点から見ると、「何か悪意があって、あの人はこんなところで咳払いやくしゃみをしているはずだ!」あるいは「あのくしゃみは、私のことを嫌っている証拠だ!あの人は、私のことを軽蔑している」など、わざわざ他人に悪意があると捉えていきます。要は、自分にとっての敵とみなしていくわけですね。
相手にはまったくそんなつもりがないのに、「あの人に非難された」と勝手に思い込んで、人間関係をこじらせていくこともあります。
被害妄想の程度にもよりますが、重度の被害妄想の場合では、咳払いやくしゃみをした赤の他人を、自分の勝手な思い込みだけで、攻撃してしまうこともあります。
もちろん、本人にとっては、自分の身が危険にさらされているわけですから、正当防衛なわけです(多くの場合、「私は悪くない。悪いのはあいつだ!」と主張してきます)。
世間のニュースで取り上げられている事件などは、ほとんどがこの「被害妄想」が根っこにあります。
こうなってしまうと、周囲が「そんなことないよ。それはただの思い込みだよ」などと善意で注意してあげたとしても、聞く耳はありません。かえって、「こいつは何も分かっていない!」と敵意を向けられてしまうこともあるのです。
それくらい被害妄想は扱い方が難しいんですね。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、さっそく、Yさんの体験談を見ていくことにしましょう。
当事者の体験談より
私の場合、被害妄想が出た後にパニックに陥ることが多々ありました。
最初は「辛いのは周りのせい」「私は悪くなかったのに」等被害者意識が出始めます。
その後に「でも私も悪かったのかもしれない」という感情が出てくると、気持ちの処理が追いつかなくてパニックになってしまうのです。
心は完全な被害者なのに考え方は、「向こうも悪かったかもしれないけど、多分私にも悪いところがあった」など完全に被害ではない意識が出てくるのです。
そうすると相容れない心と考え方が反発を起こして結果、パニックになってしまいました。
この時の私はただ泣き叫んで、言葉も出ないし話も聞けない状態になることが多かったです。
しかし親は「近所迷惑だから」という理由でどうにかして泣くのを止めにきますが、それは私にとって逆効果だったのです。
心の中では「親も泣くのになんで私は泣いてはいけないのか」や「他の人だって泣き叫ぶのに」という感情でいっぱいなので、それに加え親の姿が目に入ると「いい子でいなきゃ」や「泣くのをやめないと打たれる」という身体に染みついた恐怖感も蘇り、さらにパニックになりました。
併発して過呼吸や手足の震えも出ます。
この時の私は泣き止むまでほっといてほしかったし、感情の整理をしたいから泣いていたのです。
そして泣きやんだ後に話を聞いてほしかった。
私の親は目先の物事を片付けようと一生懸命になっていた気がします。
この場合は泣いている私を泣き止ませることに集中していて、本来の私がして欲しかったことをしてくれなかったという結果になります。
子供がどうしてほしいか、親はどうされたいのか、普段からのコミュニケーションがあまり取れていないと、このような場面の時にお互いがパニックになってしまうと感じました。