お子様が突然「死にたい」と言い出した時は、不安な気持ちを受け止めてほしいことがほとんどです。

 

しかし、頻繁に言われるようになってしまうと、たとえ親御さんでもその精神的な負担は相当なものです。

 

かと言って、聞き手がしっかり受け止めてくれないとお子様が感じてしまうような対応は避けなければなりません。

 

「親はどう対応したらいいのか?」

 

「どうしたらそんなことを言わなくなるのか?」

 

結論から申し上げますと、自殺をほのめかしたりするようなケースでは、家族だけで対応せず最終的に私たちのような専門家にお任せいただくことが最も安全で確実です。

 

当施設でも、「死にたい」と口にするようなお子様をお預りし、心の苦しみや根本原因の解消に向けたサポートを行っています。

 

「なぜ親子だけでの対応が望ましくないのか?」

 

「どうして専門家の力が必要なのか?」

 

今回はそうした疑問にお答えし、少しでも多くの方へのご理解を深めていただくため、関連性の深い”パーソナリティ障害”の説明を交えつつ解説してみたいと思います。

 

【目次】

親だけでは限界がある

「死にたい」衝動の克服

心の支えと愛情

 

親だけでは限界がある

指をさす女性

お子様に「死にたい」と打ち明けられた時は、抱えているであろう不安や恐怖などの感情を受け止めるつもりで真剣に話に耳を傾ける必要があります。

 

また、お子様が「死にたい」と口にしたあとに黙り込んでしまうような場合は、無理に話を聞きだそうとせず沈黙に付き合うことも大切です。

 

ただ、これらはあくまで対症療法(その場の症状を治める方法)でしかなく、原因療法(原因を治す方法)を行わない限り延々と繰り返してしまい、親子を苦しめ続けることになってしまうでしょう。

 

対症療法だけならご家庭で実践できるかもしれませんが、繰り返させないための原因療法を行うには専門家の力を借りなければなりません。

 

そもそも、先述した通りこれらは親御さんだけで行うには相当の負担を強いられるものであり、親子共倒れになってしまう危険性が大いにあります。

 

当施設では、専門のスタッフたちが数人かかりでお子様の「死にたい」問答にとことん向き合い、その背景に潜んでいる原因と考えられる心の苦しみを探り当ててケアしていきます。

 

その中でも特に多いものが「パーソナリティ障害(人格障害)」と呼ばれるものであり、同時にうつ状態や不安、パニック、トラウマなどを合わせて発症しているケースが半数以上を占めています。

 

実は、親御さんから見てもお子様が何かの精神疾患かもしれないとうすうす気づかれていることも少なくありません。

 

問題なのは、その可能性に気づいているにも関わらず誰にも相談することなく、自分たちだけで対処しようとしてしまう方が非常に多くいらっしゃることです。

 

その結果、手に負えないものを親御さんだけで抱え込んでしまい、自らが心の不調に陥ってしまうのです。

 

このようないわゆる”親子共倒れ状態”になってしまうと、私たち専門家でも回復までに非常に長い時間を要してしまいます。

 

「死にたい」衝動の克服

話を聞く母と娘

お子様の状態を重く受け止め、すでに精神科病院へお子様を通院(あるいは入院)させていたという親御さんたちからも、当施設へとご相談を持ちかけられることがあります。

 

そんな親御さんたちが口を揃えて言うセリフは、「長年、病院の治療や投薬を続けてきたが回復の目途がたたない」というものでした。

 

いずれの方も、病院のやり方とは違う方法でお子様を回復してくれそうな所をインターネットで調べ上げ、当施設へとたどり着くのだそうです。

 

そのせいか、「パーソナリティ障害と診断された我が子を預けてみたい」と懇願される親御さんの声からは、切実な想いが伝わってきます。

 

通常、「死にたい」と口にするようになってしまうほど心を病まれているお子様に対しては病院のような閉鎖的空間で投薬を主とした治療が行われます。

 

しかしその一方で、親御さんは「本人になるべく負担が無くて、心安らぐような生活を送りながら行えるものにしてほしい」といった希望を持っていることがほとんどです。

 

そのため、当施設では病院とは大きく異なる独自の方法で親御さんの視点に立ったお子様の回復サポートをご提供しているのです。

スーツの男性

当施設の回復サポートはおおまかに、

 

・自由で解放的な生活を送れる環境

 

・人間味溢れる温かなサポート体制

 

・心理のプロが支えてくれる安心感

 

といった3つの軸によって成り立っています。

 

これには、お子様が抱えているであろう心の深い部分にある根本原因に働きかけるという目的があります。

 

また、根本原因を解消するためには、長い時間をかけて心に寄り添い、気持ちを受け止め続けていく支援者の覚悟や技量が要求されます。

 

長いサポートの中で、親御さんから「親として何かできることはないんでしょうか?」という質問を受けることがあります。

 

焦りや責任感からか、こういった心配をされる方が非常に多いのです。

 

そんな時、私たちはアドバイスとして「我が子を信じて見守り、陰ながら支えてあげてください」と伝えています。

 

なぜなら、お子様にとっては親から与えられる安心感に勝るものはないからです。

 

パーソナリティ障害の回復のために私たち専門家が親子に介入していますが、これも親御さんの理解と支えなくしては成り立ちません。

 

お子様を大切に想う親御さんと気持ちを合わせて立ち向かうことで、パーソナリティ障害という難しい壁を乗り越え、「死にたい」衝動の克服が確かなものとなってくるのです。

 

心の支えと愛情

ハートを差し出す手

「死にたい」という言葉を発する時、お子様はとても心細く、大きな不安を感じています。

 

親子の関係性によっては、親御さんがお子様から信頼を得ていなかったりすると、そんな時の心の支えとなってあげられないことも考えられます。

 

複雑化する家庭の事情から、そういったことがあることも致し方ないでしょう。

 

ですが、お子様の心の支えとなってあげられない親御さんたちに代わり、私たち専門家がお子様の良き相談相手となり、心の支えとなってさしあげることも可能なのです。

 

専門家とて信頼を得ることは決して簡単な道のりではありませんが、誠心誠意向き合うことで徐々にお子様が心を開いてくれることも長い経験からわかっています。

 

また、「死にたい」と口にするようになったのはパーソナリティ障害の影響が大きい一方で、さらに遡って探ってみると一番足りなかったものは”愛情”であったこともわかってきます。

 

そうしたことを踏まえて、私たちの施設でお子様をお預りしている間は、スタッフ一同、そして仲間たち(利用者同士)がたっぷりの愛情と友情を持って接し、人の温かさを感じていただけるような工夫を凝らしています。

笑顔の女性

寂しい時、不安な時、困った時、いつでも相談に乗ってもらえること。

 

毎日の食事は、畑で採れた美味しい野菜をふんだんにつかった温かい手料理であること。

 

自然に囲まれた穏やかな環境で、毎日安心して眠りにつけること

 

これらは、他の施設や病院では決して味わうことのできないような”特別な体験”であり、症状改善や緩和に大きく貢献してくれます。

 

それでも時折、施設の中でもお子様は「死にたい」という思い巡らせたり、お酒やたばこなどで紛らわせようとしたり、自傷行為(リストカットなど)で代替えすることがあります。

 

そんな時、私たちは絶対に本人を責めることはせず「辛かったんだね」「苦しかったね」という共感と理解の気持ちを持って接し、適切な発散方法についても丁寧にアドバイスしております。

 

最後になりますが、パーソナリティ障害と「死にたい」衝動は非常に密接な関係にあり、どちらも短期間で克服できるようなものではありません。

 

そして、そのために頑張りすぎたり、手に負えなくなるまで無理をしてしまうような親御さんが後を絶ちません。

 

わたしたちは、そういった親子が少しでも支援に結びついて、一刻も早く安心した生活を取り戻されるよう、広く受け入れを行い回復に向けたサポートを提供し続けています。

 

※当施設について詳しく知りたい方はホームページをご覧ください。

 

【お問い合わせはこちらから】

☎ 0274-62-8826(専用回線)

✉ jec.mailcounseling@gmail.com

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担当:佐藤

 

花畑