皆さん、こんにちは。
今回より、新規シリーズとして「パーソナリティ障害が治るきっかけ」というテーマでブログを展開していく予定です。
当施設では、パーソナリティ障害を抱えた当事者たちが社会に適応できるまでに回復された事例などから、そのケースごとに快方へ向かうきっかけのようなものがあることを確認しています。
果たして回復へと至るきっかけとは、何をすることでつかむことができたのか?
また、そのきっかけとはいったいどのようなものだったのか?
このシリーズではパーソナリティ障害の回復過程について様々な考察をしていきます。
はじめに
本題に入る前に、改めてパーソナリティ障害という精神疾患の性質や特徴などを簡単にご説明します。
まずパーソナリティ障害とは、
『個性や性格からくる問題ではなく、その人の基本的な方向性や価値に関する悩みや不安、その不安定さから、生活の広範囲に影響を受け、内心に耐えがたい生きづらさを抱えている状態』のことを言います。
そして、よく噂されていることとしてパーソナリティ障害は治らないという誤解があります。
これはまだパーソナリティ障害について解明が進んでいなかった一昔前に多く耳にした話です。
近年では薬物療法や心理療法(精神療法)などを活用することで、診断基準を満たさない状態(寛解状態)にまで回復が期待できる精神疾患としての認知が一般的です。
しかし、パーソナリティ障害の回復には相応の時間が必要とされ、辛抱強くじっくり治療するための忍耐力が当事者たちに求めらます。
長い治療を続けていく上で必要なことは、支援者と当事者がお互いを信頼できる良好な関係を築くことであると言われています。
もしも当事者が支援者に対して疑心暗鬼のまま支援を受け続けていたとしても、望むような進展は期待できないばかりか、治療期間は延々と間延びしていってしまいます。
また、さらなる症状の悪化を招く可能性も大いに予想されます。
支援者が当事者に対して誠実であることは大前提ですが、当事者側も疑念に支配されたり、被害妄想を膨らませるばかりではなく、人に任せよう(頼ろう)という気持ちを持っていただけると、より一層治療や支援の効果が期待できることは間違いありません。
回復の足跡を辿ると
パーソナリティ障害と一言にいっても、実にたくさんのタイプに分けられます。
そして、そのタイプごとに要求される支援の在り方も変わってきます。
人間が十人十色であると言われるように、当事者を取り巻く環境や、過去のいきさつなどを考慮して、支援者にはその人ごとの適切な対応が求められます。
その支援の難しさからか、残念なことにパーソナリティ障害の専門家はあまり数が多い方ではありません。
そのような事情も踏まえた上で、当施設は数少ない専門家としての責任を持って、これまでに多くの当事者とそのご家族の支援を継続してきました。
そうして積み重ねられる臨床経験の中からも新しい発見があったりします。
その一つが「回復へ向かうきっかけ」の存在です。
当事者が長期に渡る支援を受け続ける中で、明らかにある時期から目覚ましく変化していくという事象がたびたび確認されています。
そのタイミングこそ快方へ向かうこととなったターニングポイント、つまり「きっかけ」に気づかれた瞬間なのでしょう。
もちろん、その内容やタイミングなどは人それぞれですが、きっかけを得た方々に共通している部分も見受けられます。
それは途中で諦めず、希望を捨てずに支援を受け続けていたことです。
パーソナリティ障害の回復には時間も、お金も、体力も、気力も必要です。
「信頼関係」が大事であるように、当事者に「希望」を持っていただくことは長い支援を続ける上での大切なモチベーションの維持につながります。
時間をかけて自分と、親と、そして社会と向き合う中で「何か」に気づき、自らのこころに変革をもたらします。
お急ぎの方は(対応のコツ)
TEL 0274-62-8826
施設長対応(9:00~20:00):佐藤
その気づきのチャンスは、よほど運が良い場合を除き、決して短いスパン(期間)で得られるものではないでしょう。
繰り返しますが、パーソナリティ障害は回復までに長い時間を必要としますが、決して回復が不可能な精神疾患ではありません。
話をしっかりと受け止めてくれる支援者を見つけること。
そして、素直に自分の気持ちを語れるようになること。
これらの条件を満たすことで、何かをつかみ始める傾向にあるようです。
以上のことから、悲観せず、先入観を持たず、前向きな気持ちで支援につながっていただくことを強くおすすめします。