皆さん、こんにちは。

シリーズブログの第一部「小さな気づきで全てが変わる~Small changes make
a big difference」18回目になります。

「悩む」というワードを聞くと気が重くなってしまう方も多いかもしれませんが、実はこの悩むことができるということは、立派な能力の一つなのです。

今回は、矢市先生が30年以上に及ぶ臨床現場で培った、パーソナリティ障害の回復と「悩む」ことの関わりについて解説してもらいたいと思います。

心の器が育っているか

最近じっくりと自分で悩みを持つことができない人が増えてきたように思われます。

悩むことができない彼らは、何かを思いついてもすぐに家族に話したり、知人に電話やメールを送ったりしてしまいます。

思いつくとパっと動き回って、「躁(そう)状態」のように激しく行動して、落ち着いていられない感情に襲われるのです。

悩むことができるということは、自分の自我と言うものを自分で統合する力を持っているということです。

簡単に言い換えると、悩むことができる「心の器」を持っているということでもあります。

多くのパーソナリティ障害の方たちに共通しているのは、この「心の器」が育っていないためにじっくりと悩みぬくことができず、すぐに衝動的に行動してしまうということです。

だから感情が突然高ぶってしまうと、母親を殴ったり、暴言を吐いてしまうのです。

数々の依存行動なども、それに没頭している最中は「無」の状態になれるので、恐怖や不安感を一時的に忘れることができるのです。

その瞬間だけは不安や恐怖に飲み込まれている自分を忘れることができるとも言い換えられます。

不安や恐怖はあってもいい

このような方たちの基本的な特徴は、自尊感情が育っていないために、適切な自己評価ができない点と、自信がなく、不安や恐怖心に飲み込まれてしまうと思い込んでいる点です。

自尊感情と衝動的行動には大きな関係があり、彼らの多くは自尊心がなくなってきたと感じると、何かしていないといられなくなってしまい、突然パニック発作や解離発作などを起こす方も珍しくありません。

不安や恐怖心を含めた自分の悩みをすぐに解消しない、解消しなくてもその悩みを抱えたままでも日常生活が送れるという心の器を育てていくことが、パーソナリティ障害の回復には必要なのです。

答えが出なくてもいいから、今まで逃げ回っていた不安や恐怖と思い切って向き合ってみることも、「心の器」を育てていく方法の一つです。

「不安や恐怖はあってもいい」ということに気がついてくると思います。