1.娘と母の共依存の特徴と原因
「共依存」とは、「依存者」と「共依存者」が相互に依存している状態のこと。
何かに病的に没頭してしまうなど普通の生活が困難な「依存者」と、
過度に自分を犠牲にして「依存者」の世話をする「共依存者」の構図です。
一見、「共依存者」が被害者なのかな? と思いがちですが、
「共依存者」は「依存者」に必要とされることに自分の価値を見出し、
満足感を得ているため、献身的な行為や精神的な面を含めたコントロールを繰り返します。
共に抜け出せないのが「共依存」なのだそう。
引用元:小学館「共依存親子」の特徴とは?リスクや自立する方法を解説
特徴として「自立する年齢になっても、お互い離れてくらせない」「経済援助が当たり前になっている」「お互いに依存している自覚がない」。
また原因として「親が子を自分の一部として扱っている」「夫婦不和などの理由で子に執着」「子への過度な心配」があります。
引用元:小学館「共依存親子」の特徴とは?リスクや自立する方法を解説
当施設は、全国でも唯一の心理を中心とした宿泊休養が受けられる施設として、
これまでに多くの共依存状態にある親子のサポートを行ってきました。
20年以上に渡る支援経験の中で、パーソナリティ障害との関連を疑われる共依存の相談の中から、
娘さんが共依存から脱出した実績についてお伝えします。
2・娘が共依存を乗り越えた理由
当施設は病院やグループホームとは違い、国からの補助金やその他支援を一切受けていません。
その代わりに国から強制される制限の外にあるため、
より個人のニーズを尊重した柔軟な対応を可能としています。
共依存の母と娘のケアにおいても、この柔軟な対応がとても大きな効果を発揮します。
例えば、当施設の目玉でもある宿泊休養では、他の施設では考えられないほど自由な生活が保障されています。
病院やグループホームなどでは就寝時間や食事時間、運動する時間などが厳密にルール化されており、
そのルールに沿った行動を取ることで回復を促すような取り決まりがあります。
しかし、多くの共依存の母娘を見てきた私どもの意見として、
その心理状態から、規則正しい生活が送れるような水準にいないことがほとんどなのです。
例えば、母への依存を持つ娘さんは「将来への不安や恐怖が常にある」
「ずっと心が休まらない」という心理を抱えています。
対する共依存者の母も、自らの過保護が原因とは知らずに
「娘がいつまで経っても自立できないことへの不安がある」と口にするのです。
娘さんは心の中で「信じてもらえない」「わかってもらえない」「否定される」という思いに襲われています。
母が良かれと思ってやったことが娘さんの自立の弊害となり、娘さんはやってもらえるのが当たり前になってしまったのです。
そんな娘さんに社会自立のためにとルールや規則に則ってあれこれさせようとしても、
「やり方がわからない」「どうして自分でやらなくちゃいけないの?」といった理由から
自分で行動が起こせず、その都度当たり前のように母を頼ってしまいます。
病院や施設側から母に「手を貸さないでください」と注意されていても、
娘が「なんでやってくれないの!」と激高するのでままならず、
支援を中断してしまうことも少なくありません。
私ども専門家は、共依存の母娘に対して心理学マインド通じた応対を心がけています。
規則正しい生活ができるかどうかなどは二の次で、
娘さんが今感じている不安や恐怖を理解し、寄り添う所から始めます。
そうすると、意外なことにも気づくことができます。
横暴な態度に見えた娘さんにもしっかりと「母への申し訳なさ」があり、
葛藤から自己嫌悪に苦しんでいるという一面があったのです。
そこを見逃さずにキャッチして、「辛かったんだね…」と心に寄り添ってくれる
スタッフや仲間たちの存在が娘さんの態度にも変化をもたらしていきます。
「安心」を感じられるようになってくると、母との向き合い方について冷静に見直す機会を得ます。
「自分の気持ちを話しても良いんだ」「疑わないで聞いてくれる人がいるんだ」とわかると、
自ら進んで本音を話せるようになり、自分で行動を起こせるように成長していきます。
これこそが共依存からの脱出の第一歩であり、ここから自立に向けた成長が始まるのです。
「失敗してもいいや」「これは仕方ない」といった今までにない発想が持てるようになる頃には、
共依存だった頃の面影も感じられないほどに回復されます。
もしも共依存の娘さんが暴言、暴力、OD、リスカといった発作を抱えている場合、これを家族だけで解決するのは不可能です。
そんな時は専門家へ相談し、「共依存からの脱出したい!」と真剣に訴えてください。
経験上、本気度(必死さ)が伝わる親御さんたちは結果を出しているように感じます。
お悩みでしたら、今すぐにでもご相談ください。
JECパーソナリティ障害宿泊・心理センター (担当 佐藤)
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