皆さん、こんにちは。
シリーズブログ「家庭内暴力からの成功例」は、当施設のこれまでの解決実績を元に、子どもの深層心理を知ることによって見えてくる、真の原因や対処方法などについてご紹介していくものです。
家庭内暴力に苦しんでいるご家族に、少しでも希望を持っていただけるような情報を提供して参ります。
第4回目は、母親が家庭内暴力の原因に深く関わっているケースにおいて、止まない暴言、暴力に隠された子どもの本音と、その因果関係について解説したいと思います。
何を訴えているのか?
子どもから母親へ向けられる暴力や暴言に対して「どうしてこうなってしまったのか?」「なぜ母親に向けられるのか?」「私の育て方が悪かったのか?」といった疑問を持たれる方は多くいらっしゃいます。
その答えを知るためには、「子どもが本当は何を訴えているのか?」ということに目を向けてみると、彼らの深層心理の理解に近づくことができます。
しかし、暴力や暴言が横行しているご家庭において、母親に子どもの気持ちを探る余裕など無いことがほとんどだと思います。
やはり、早い段階から第三者(専門の支援機関)に介入してもらい、両者の橋渡し役を作っておくことが得策であると言えます。
表現のカタチ
当施設がこれまでに関わってきた事例から読み取れるものがあると思いますので、以下にその一部をご紹介します。
これらは、実際に当施設で回復なされていった利用者(子ども)の内、母親との因果関係が強く影響して家庭内暴力が起こっていたケースに限定し、彼らが話してくれた「母親に対する生の声」です。
- 甘えたくても、いつもそんな隙がない雰囲気を出してくる。
- 人前ではいい顔をしているくせに、家では真逆の態度を取っている。
- 自分が弱音を吐くととしつこく叱られ、失敗できない緊張感を感じさせられる。
- いつも自分のことを監視しているように感じる。
- いつも愚痴(特に父親の)ばかり言っていてうんざりする。
- 自分の話はまともに聞いてくれない、聞こうという態度が見えない。
- 自分勝手で、損か得かばかりを考えている。
- 人の失敗は責めるくせに自分の非は絶対に認めない人だ。
仮に子どもがこうした特性を持つ母親の下で育つと、自分や他人を信じることが困難な人間に育ってしまう傾向があります。
また、気持ちを受け止めてもらった体験も乏しくなりがちで、自然と気持ちを我慢して口に出さないクセがついてしまいます。
そして、言葉にできなくなった気持ちや衝動と言ったものが、暴力といったカタチで表現されてしまうことで家庭内暴力が起こるのです。
素直に表現する訓練
人の顔色やご機嫌を伺ってばかりいたり、周囲の人間の評価に依存して自分自身を保つようなクセが身についてしまうと、それは家庭内だけでなく、社会においても「生きづらい」と感じてしまう原因になります。
その生きづらさからくる苦しさや不満といったものが蓄積していって、子どもは引きこもってみたり、思ってもいない暴言を吐いたり、暴力に訴えたりします。
本来ならば、それらは「言葉」にして他人に伝えることが自然な表現方法なのですが、ずっとそうしてこなかった彼らにとっては何よりも難しい課題なのです。
当施設では、どんな些細な気持ちも言語化できるようになってもらうため、日常生活の中でスタッフが見守り、時には手を差し伸べたり、心理カウンセリングの中でアドバイスを与えたりしてサポートしています。
そして、言葉に表現できるということがどれほど楽で、ストレスフリーであるのかということを体感していただきます。
思ったことを素直に口にできるようになるだけでも、彼らは間違った訴え方を選択する機会がグンと減ることもわかっているからです。
母親側も、子どもの気持ちに耳を傾け、これからは「どうしたいのか?」「どう感じたのか?」を聞く姿勢を持ってあげてください。
わが子も自分と同じ一人の人間(大人)であるという認識を持って、意思を尊重してあげることが、何より彼らの人生を幸福で豊かなものへと導いていくのだと思います。