家族にできることはありますか?

 

パーソナリティ障害の支援において、ご家族(親御さん)にできることを1つあげるとしたら、それは「正直にあること」ではないかと私どもは考えます。

正直にあることとは、「できること、できないこと」「してあげたいこと、してあげたくないこと」を明確にすることであったり、時には、それをお子さんと正直に話し合う努力なども大切であると私どもは考えます(決して喧嘩をしたり、無関心や無責任で押し通すことを意味している訳ではありません)。

でも「正直にある」ことが、どうして大切であると言いますと、それは、パーソナリティ障害者を支えるご家族(周囲)の多くが「ムリな対応に迫られている」からです。ムリな対応とは、「できること、できないこと」「してあげたいこと、してあげたくないこと」のビジョンが混同している状態に近く、知らず知らずに自分を見失ったり、疲労や焦りを募らせる原因にもなると私どもは理解します。

当センターに寄せられるご相談内容にも(親御さん)、エスカレートするお子さんの要求に「どこまで従っていいか」の悩みが多くあります。そんな時、私どもはまず、親御さんの「正直な気持ち」(危機感や心配など)を大切にしてくださいとお返しします。もし、正直な気持ちと裏腹な行動や判断に迫られているとしていたなら、一息を置いて、正直な気持ちにそった行動や判断を想像したり、その影響(心配)を親身に相談に乗ってくれる他者と一緒に検討することをお勧めします。

親御さんが自分の気持ちに「正直にあろう」とする努力は、子どもから「逃げてない」の親の態度を表す機会となり、親子間の信頼(絆)を取り戻すきっかけにさえなり得ます。もっと言えば、そのような態度が、お子さんのなかの「気持ちに正直であろうとすること」「完璧にやろうとしなくてよい」などを育む機会となり、人格機能を成長させるきっかけにもつながります。

とは言え、この作業には、専門的なサポートを要すことが多いため、特にパーソナリティ障害の臨床経験のある専門家と一緒に進めていただきたいです。