ガチャガチャ

私どもは親子の悩みや問題に介入し、その解決を支援するお仕事をしています。

 

つい先日、今どきの親子事情や家族問題についてリサーチを続けていたところ、「親ガチャ」という言葉が私たちの予想を遥かに超えて世間でバズっている(話題になっている)ことに驚かされました。

 

その証拠に、ネット上の論争だけに留まらず、芸能人や著名人(松本人志さん、西村博之さん他)、臨床心理士さんや各種ニュース記事などでも次々と意見が述べられていました。

 

実は当ブログでも、少し前に記事として「親ガチャ」を扱いましたが、まだまだこの言葉が秘めた意味について深掘りする必要アリと判断し、情報を集めて独自に分析を行ってみました。

 

興味のある方はぜひご覧になってみてください。

 

【基本情報】

親ガチャはどういった問題?

ガチャガチャカプセル

親ガチャとは、つまるところ若者たちが作り上げたネットスラング(インターネットで使われる俗語)です。

 

意味は、「親の性格や経済力などを理由とした家庭環境を、ゲームのガチャ(くじ引き)に例えて”選べない運試し”のようなものと揶揄したもの」といったところです。

 

若者たちからしてみれば、この「親ガチャ」という言葉を使うことにさほど悪意もなく、単に流行語のような感覚で同世代が使っているから使っているだけなのだと思います。

 

しかし、聞いた人によっては半出生主義と言わんばかりの思想とも受け止められ、先述した意味以外にも社会的影響は大きいものがあると予想します。

 

従って、まだまだ賛否両論の続くこの言葉を、ただ「不謹慎」と断定して切り捨ててしまうにはいささか早計であるように思えてなりません。

 

親ガチャに対する意見

色々な世代の人たち

まず、親ガチャに対する各世代からの様々な意見を独自にリサーチしてみました。

 

【批判的な意見】

  • 自分の不遇を親(他者)のせいにしたネガティブな言葉だ(50代)
  • 格差ですべてが決定してしまうような物言いにはどうかと思う(30代)
  • それを言い出したら「〇〇ガチャ」があるなど、キリがない(20代)
  • 努力しても覆せないなどのあきらめにも似た皮肉や嘲笑だ(40代)
  • 親の経済力次第では努力さえもすることが叶わない(10代)
  • 親の経済力次第で子供の学歴にも大きな差が生まれる(20代)

 

【肯定的な意見】

  • 多少の差を不遇と感じるのは、逆に日本の社会が豊かで恵まれている証拠だ(50代)
  • 若者が愚痴やふざけて使っているだけで、実際それほど深刻ではないと思う(40代)
  • 自虐のように使っている人もいて、逆にたくましくも思える(20代)
  • いかに恵まれているかを客観視できていないだけ。問題視するほどではない(30代)

 

やや批判的な意見が多い傾向にありますが、概ねこのような意見がみられ、年代によって捉え方が全く違うことがわかります。

 

10代で肯定的な意見が見られなかったことからも、やはり若者にとってはあまり良いイメージで使っている言葉ではないことがわかります。

 

批判的な意見の中にもあるように、「親ガチャ」などと騒ぎだしたら、次は耳の痛い親たちが対抗馬として「子ガチャ」を出してきそうなことも簡単に予想できますね。

 

他にも、ガチャのアタリとハズレの基準として「貧困格差」が最も話題に取り上げられていた点からは、現代日本で貧困の格差を感じている方が多いことも伺えます。

 

【検証】

親ガチャのアタリとハズレ

アタリとハズレ

これまでの情報をまとめ、「親ガチャ」なる概念について、少し趣向を凝らして親ガチャのルーツになぞらえたゲームライクな表現で、その”ハズレ”と”アタリ”を検証してみましょう。

 

親ガチャのハズレとは…

  • 親のステータス「貧困Lv10」「容姿Lv1」「性格Lv1」「虐待Lv10」

 

親ガチャのアタリとは…

  • 親のステータス「裕福Lv10」「容姿Lv10」「性格Lv10」「愛情Lv10」

 

といったところでしょうか。

 

こうして見ると、両者の間にはとてつもない「格差」が存在し、見ただけで子供の人生に決定的な影響を及ぼしてしまいそうな力を感じます。

 

もしもこれがゲームの中のお話でしたら、能力や数字が物をいう世界ですから本当にこれによって今後の人生の難易度が変わってしまいそうですね。

 

しかし、親ガチャはゲームではなく「現実の話」であるということを踏まえたうえでもう一度よく考えてみましょう。

 

そのようなステータスの親にそれぞれ生まれた子どもたちが、100%幸福だったり、100%不幸な人生を送ると、誰もが本当に言い切れるでしょうか?

 

親ガチャで本当に人生が決まる?

雰囲気の良い家族

私どもは仕事柄、一般的に恵まれていると呼べるようなご家庭からの依頼によって、家族や子どもが抱える悩み・問題に対して介入し、解決支援を行ったこともあります。

 

お子さんは「家が裕福で、良い学校に進学して、立派な仕事にも就けた」にも関わらず、仕事が続かずに引きこもりにまで落ちてしまっていました。

 

実はこのように、親ガチャの概念で言うところの”アタリ”である恵まれたご家庭においても複雑な事情から、家族が大きな悩みや問題を抱えてしまうことはとても多いのです。

 

一方で、世間を見渡してみると、「家が貧乏で…」「両親を早くに亡くして…」「親に何度も殴られながら…」といった親ガチャで言う”ハズレ”の経歴をお持ちの成功者たちが数多くいることにも気づかされます。

 

つまり、これらの事実から

 

「現実で親ガチャが今後の人生をすべて決めてしまうわけではない」

 

ということが言えるのではないでしょうか。

 

【総評】

親ガチャに負けない人生を!

喜ぶ若者たち

私は環境にとらわれず努力した人が全て報われるなどと軽口を叩くつもりはありません。

 

しかし、私の好きな漫画のセリフにある言葉を借りるならば、

 

「成功した者は皆、すべからく”努力”をしていた」

 

ということもまた、ひとつの真実と言えるのではないかと思います。

 

例えば、先述したような「恵まれながらも引きこもりになった子ども」は、ご縁で当施設の支援とつながり、回復されたという後日談があります。

 

彼は施設での生活を通して、辛い時期を人に支えられながら自分と向き合い、ひたむきに努力をされて無事に社会復帰されました。

 

そのことからもわかるように、今回親ガチャという言葉を通して改めて思うところがあります。

 

「人生はたしかに”運”の影響も受けるが、努力次第でやり直しはいくらでもきく」

 

ということです。

 

現在、コロナ禍という過酷な環境下にあり、人によっては今まさに人生の佳境に立たされているかもしれません。

 

そのような方たちにこそ、この言葉を送りたいと思います。

 

例えば、企業で成功した人たちの話を伺っても、成功に至るまでの過程の中でたくさんの借金や失敗、不運に苛まれた経験があったそうです。

 

それでも諦めずに目標へ向かって進み続け、望んだ結果へとつながることができたというお話は、人生の先輩方からの教訓のようにも聞こえます。

 

最後に…本当に苦しいご家族に向けて

悩む親たち

そうは言ってもやはり家族というものは複雑で、困難な事情を抱えがちなものです。

 

親ガチャという言葉を使いたがる若者たちの中には今の親(家庭環境)が耐えがたく、本当にどうにもならないと感じているような方もいらっしゃると思います。

 

また、親たちもそうした子どもたちからのバッシングや、世間の冷たい風を受け続けて精神的に追い詰められていることだって少なくありません。

 

そんな時は独りで抱え込まず、悩みや問題と向き合い、一緒に考えてくれる”誰か”を頼ってみることから試してみてください。

 

余談ですが、私たち専門家のお仕事は、常にそうしたご家族を含む当事者様たちとともに寄り添い、責任を持って人生をより良い方向へと導くお手伝いしていくことです。

 

※関連記事:「親ガチャなんてものは無い」